少年 平岡 公威

すこまえ とうきょうえきないぼうしょ


「すみません。ちちわせをしているんですが、とうきょうステーションホテルは何所どこでしょうか?」


 たい耀ようけいいんにそうくと、けいいんすこかんがえてからまわりをかくにんし、たいようこたえる。


あんないしましょうか?」

「おねがい……――」


 そういかけたたい耀ようことを、べつしょうねんこえさえぎる。


「すみません、おれれてってもらえますか?」


 こえあるじは、たい耀ようどうようそだちのさそうな、あつのYシャツにくろはんズボン姿すがたしょうねん

 かみがたいがぐりあたま

で、しんちょうたい耀ようよりすこたかい。


きみは?」


 しょうねんたい耀ようがそうたずねると、しょうねんすこまどいながらことかえす。


おれとうきょうステーションホテルで、ちちおやわせしてるんだけど、まよっちゃって」


 そうしょうねんわったことかくにんし、けいいんたい耀ようしょうねんたずねる。


かりました。そのまえかくにんしますが、其方そちら此方こちらどもたちも、どちらかのおともだちですか?」


 けいいんほうこうには、ようほく姿すがたった。

 たい耀ようけいいんっていることが、ようたちことだとかいし、うなずきながらへんをする。


「はい」


  サザー


「こちらだちまいどもにんおうえんねがいます」


 するとけいいんは、けていたトランシーバーにかってそうった。



 ★★★★



 やく15ふんとうきょうステーションホテルのいっしつ


「……てことってさ。まったく、ずかしいったらないよ」


 すこあきれたようたいようがそううと、たい耀ようちちおやはクスクスわらいながらかえす。


流石さすがにそれはゆるしてやれたい耀ようけいいんひとだってごとなんだし」

かってるよ…… それより、かあさんやおりさんがこのホテルにるのはどうこと!」


 そうっておこたい耀ように、たい耀ようちちおやはクスクスわらいながらせつめいはじめる。

 いっぽうひだりどなりのでは、たい耀ようおなゆうおりおこっていた。


「どうことよ、お祖母ばあちゃん!」

「いやぁわるいね。あぁはったがやっぱりしんぱいでね、あとけてたのさ」


 おりがそううと、おなたい耀ようははおやつづけてう。


「ごめんなさいねちゃん。わたしいてたんだけど……」

英国イギリスのスパイみたいでたのしかったよ」


 たのしそうにおりに、あきれる。


「もぉ、お祖母ばあちゃん…… そうえばパパとママは?」


 にそうたずねられ、おりう。


「あのたちなら、レストランでわたしきゃくあいをしてるよ。そうことで、わるいけどわたしいっしょちゅうしょくれないけどいかい?」

「それはかまわないけど、パパとママじゃなくてお祖母ばあちゃんに?」


 おりせつめいがるに、おりかおかえす。


わたしめるんじゃないよわるいけどいこと使づかいは、そのきゃくまえではすこがんってくれるかい」


 するとかおう。


「……かりました、祖母ばあさま


 おなころたい耀ようみぎどなりのでは、ようほくはベッドにそべってた。


「あぁもう。じゃれぎてて、かねえ!」


 そうってじょうはんしんこしたように、おなじくじょうはんしんこしたほくう。


たしかにすこし、かないよね」

「おまえがいれいせいだな?」


 ようすこそうにそうかえすと、ほくこたえる。


「まぁ、たい耀ようくんちゃんまるホテルだし。こんなかんじだとはおもってたよ、おもってたじょうだけど……」

「ホテルのたんさくでもしてくるか?」

かっうごいたらめいわくだって。びにるまで大人おとなしくってようよ」

「わぁてるけどさぁ」


  コン コン コン


 2たりしゃべっていると、のドアをノックするおとこえ、ほくへんかえす。


「はい」

ちゅうしょくくよ。わるいけどすこぎょうくしといておくれ、わたしきゃくいっしょなんでね」


 そとからのおりはなしをき、ほくはベッドからりると、ドアのところまできドアをけておりく。


「ボクいっしょいの?」

わるいけど、うがおまえたちていしてたんだよ。せいかくにはようをね」


 おりがそうったので、ようおもおりかえす。


おれ?」



 ★★★★



 【どうじつ きょうぐん 40ぷんごろ


 あるいえまえてんしゃめ、そのいえげんかんまえったかおるう。


「ごめんください」

「はぁい、ちょっとって」


  ガラ ガラ ガラ


 かおるあいさつをすると、そうっていえなかからけ、30だいこうはんじょせい姿すがたあらわす。


「すみません、みおくんいらっしゃいますか?」


 かおるたずねたのはみおいえ

 そしていえからたのはみおははおや

 みおははおやに、かおるみおいえるかたずねると、みおははおやこたえる。


みおなられいあそびにて、こうのいえあそんでるけど?」


 みおははおやがそうってしめしたのは、みちはさんでかおるひだりうしろにえるもくぞうトタンりのいえ

 かえりそのいえかくにんしたかおるは、もういちみおははおやかえるとおれいう。


「そうですか、ありがとういます」


 おれいわったかおるは、おしえてもらったいえてんしゃしてかった。


あまいけくんますか?」


 いえいたかおるてんしゃいてるほうしゃき、げんかんさきすこおおきなこえでそうける。


  ガラ ガラ ガラ


 するとしばらくしていえひらき、いえなかからみおあられた。


「アレ? かおるくん?」


 おどろみおに、かおるう。


「たまには、べつともだちともあそんでみようとおもいまして」


 かおるはそういながら、げんかんおんなものくつことかくにんし、みおく。


さきほど、おかあさまからおんなあそびにてるときましたが?」

ときちゃんが……――」


 みおがそうおうとすると、おくかいだんからときりてながら、みおことさえぎる。


みおだれたの?」


 そうわったときかおるかくにんし、かおるけてく。


「あらかおるじゃない? 貴方あなたみおところなんめずらしいわね」


 かおるがるときに、かおるく。


「よろしければいっしょあそびませんか? 宿しゅくだいわってしまいましたし、今日きょういえつだいもりませんのでひまなんですよ」

あそぶってっても、このメンバーで?」


 そうかえしたときに、かおるかえす。


たりなにをしていたんですか?」

「それをこれからめるところだったのよ。にいさんにともだちあそんでいて、いえされちゃって。めぐみぞくりょこうだし」

「そうことなら、わたし従兄妹いとこってみませんか? りょうしんかいぎょうなので、ようければいえるでしょうし」

「いきなりってだいじょうの? てうかわたしあるいてたからとおいのはこまるんだけど」


 そんなたりかいいたみおは、すこかんがえてからたりう。


ぼくがおっかあに、おくってくれるかたのんでみようか?」


 それをいたときないしんすこおどろき、かおることかえす。


「それならでんしてください。まずはうにれんらくしないと」

「ごめんかおるくん。このいえいまいえとして使つかってないからでんいんだ。いまんでるいえこう」


 みおがそうったのでかおるたずねる。


「そうえば、ココはいったい?」

まえんでたいえだよ、いまものみたいにってるけど」


 そうみおこたわると、ときふたかってう。


「ほら、そんなことよりみおいえもどりましょう。わたしもつってるからちょっとってて」


 ときはそうってかいがり、すこかんがえる。


みおにはわるいけど、かおるほんとうみおあそびにさそいにたとはおもえない…… まぁじゅっちゅうはっスセリのがねでしょうね。あのぶんとうきょうだから、かんしているのはオモイカネかしら)


 たたみゆかかれたぶんぶくろを拾い上げると、ときみおかおるもとへともどってく。



 ★★★★



とうきょうステーションホテル 120ぷんごろ


「いやぁ、此方こちらごうもうわけない。まずしょうかいよろしいかな」


 ホテルないのレストランにやってようたちに、スーツ姿すがただんせいちかっててそうった。


「オッサンだれだよ」


 げんそうなように、おりすこつよ調ちょうおこる。


すこしはぎょうくと、さっきったばかりなんだけどねぇ」

「いやいや、これは此方こちらる。しょうかいされるまでっているべきだった。どもたち大人おとなったら、このようしっぱいをしてはいけないよ」


 スーツ姿すがたおとこがそううと、おりあきれたようう。


なにしらじらしいことを。このおとこおおくらしょうの……、とってもどもたちにはつたわりつらいか。ほんくにさいにぎっているおとこさ」

「へぇ、オジサンえらひとだったんだ」


 ようがそううと、おとこほほんでしょうかいはじめる。


わたしおおくらだいじんひらおか あずさきみはもしかしたらようくんかな?」

「そう……ですけど」


 すこかしこまってようがそうへんかえすと、あずさようう。


じつたい耀ようくんとおさんからはなしをいてね、きみたのみたいことるんだ」


 そううとあずさは、ちかくのせきすわっていたおとこほうき、そのぶ。


此方こちらなさい、きみたけ


 ばれたおとこせきつと、ようたちまえまでやってる。

 よくると、そのすわっていたせきちかくにりょうしんすわってり、ようたちまえしょうねんにもおぼえがった。


きみはさっきの?」


 たい耀ようがそううと、あずさきみたけかってしつもんする。


なんだ、もうってたのか?」

ちゅうにね。むかえにてくれなかったから、こっちはたいへんだったんだから」


 きみたけが、げんそうなかおあずさにそうかえすと、あずさおなじくすこげんかおをしてさらかえす。


らいねんちゅうがくせいるんだ、とうきょうえきまよってるようでは……――」


 しかしことわるまえに、おりはなしをさえぎる。


あずさわるいがようけんだけっとくれ。どもたちちゅうしょくはやべさせたいんでね」


 おりことに、あずさもうわけなさそうにようたちう。


「そうでした。わるいがこのも、ちゅうしょくいっしょさせてくれないか? わたしおりさんとごとはなしがるので、いっしょられない。しょくあといっしょあそんでもらえるとうれしいのだが」


 あずさのおねがいをいたようは、あずさしつもんかえす。


おれたちかまいませんが、なんおれなんですか?」

「それはこのが……――」


 ようしつもんあずさこたえようとすると、きみたけがそのはなしをさえぎためう。


とうさん、それはあとぶんせつめいするから」

「そうか…… それではわたしはこれで。きみたけちょっと……」


 あずさはそううとポケットからさいし、ようたちきみたけに1まんえんさつわたすと、ごえきみたけう。


づかいとことにして、わるいがあまりはかえしてくれ……」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る