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 しずくの家の小さな本棚には難しい本ばかりおいてあった。なにせ外国語の本ばかりでなにが書いてあるのか題名を読むだけでも大変だった。

 その本の中に混ざって一冊の大きな本が無造作に本棚に立てかけられるようにして置いてあった。

 表紙に一枚の絵が印刷されている真っ白な大きな本。

 それはしずくの個展の絵画を集めた作品集だった。

 のぞみが初めてしずくの絵を見たのは、そのしずくの個展の会場でのことだった。

 のぞみが初めて見たしずくの絵はとても不思議な色彩をした森の絵だった。

 白やピンクや水色の森。

 実際には存在しない色彩の森がその絵の中にはあった。

 その絵を見て、のぞみはいつのまにか泣いていた。

 理由は自分でもよくわからなかった。

 パステルカラーで描かれた不思議な動物や森や湖の風景画。

 それはしずくの初めての個展『森の妖精』の風景だった。

 真っ白な部屋の中に飾られている不思議で魅力的な絵画。

 そんな不思議な空間の一番奥の場所でのぞみは一枚の小さな絵と出会った。

 真っ白な妖精の少女の絵。

 水色と桃色の森の中にいる楽しそうに森の中で一人でも遊んでいる真っ白なままの尖った少女の絵。

 その絵を見て、のぞみは思わず手を伸ばしてその絵に触れてしまいそうになった。

 これは私だと思った。

 のぞみはその絵を(自分の宝物にするために)購入した。

 絵を購入したことで、のぞみはその絵の作者である画家のしずくと会うことになった。

 そしてのぞみは恋をした。

 運命の出会いだと思った。

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