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「精霊、ですか?」のぞみは言う。

「うん。森の精霊。森の精霊が君の歌を聞いて喜んでいるのがわかる。風が揺らす森の木々の葉を揺らす音が拍手のように聞こえる。この森にはたくさんの命がある。その命が君の歌を気に入っている。それはとても凄いことだと思う」としずくは言った。

「アミニズム思想ですか?」のぞみは言う。

「そんなに難しい話じゃないよ。僕の感じる自然な歌の感想のお話だよ」としずくは言った。


「コンサートが成功したとしてももう一度私がアイドルとして成功できるかどうかはやって見なければわかりません」

「君の実力があっても?」としずくは言った。

「私の実力のお話は置いておくとして、詳しい説明は省きますけど、音楽には大きな流行の流れがあって、その流れに沿っていろんなグループや曲やムービーが作られて、たくさんの人たちを感動させているんです。その大きな流れに逆らうことは本当に一部の人たちをのぞいて、できません」のぞみは言う。

「その大きな流れの中に君はいない」としずくは言う。

「はい。そうです。もっといえば休息を取る前は確かに私はその大きな流れの中にいました。それもその流れの一番大きなところにいて、その流れの中で、なにもわからずに流されるまま、毎日を必死に走って過ごしていました」

「君は世界一のアイドルになった。夢を叶えたわけだね」

「私は世界一になれたわけではありません。ただ近づくことはできました。それはとても幸運なことです。だから本当ならもうアイドルとしての私の役割は終わっているんだと思います。だからこそ限界が来た。舞台を降りろと言われたんです」

「誰から?」

「歌の神様から」にっこり笑ってのぞみは言った。

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