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「少し休憩にしよう。コーヒーでも淹れるよ」そう言ってしずくは小さく笑って、椅子から立ち上がった。
「はい。わかりました」にっこりと笑ってのぞみは言った。
今日はいつもとは違って森の中ではなくてしずくの暮らしている小さな森の家の中にあるしずくのアトリエの中に二人はいた。(もちろんそこで絵を描くことを決めたのはしずくだった)とても綺麗で、静かで、物がとても少ないアトリエだった。(絵を描くための道具も少なくて数枚の絵が飾ってなかったらここがアトリエだとは誰も思わないだろうな、とのぞみは思った)
しずくの家の中には立派なスピーカーのある音楽機器があった。レコードなども何枚も保存してあるようだった。それはものをあまり持たないしずくにしては不思議な行動だとのぞみは思った。
「しずくさんは絵の勉強を学校で学んだんですか?」とのぞみは言った。
森にやってくる前のしずく。今の自分のようにどこかの学校の制服を着ているしずくの姿を上手く想像することがのぞみにはできなかった。
今のぞみの前にいるしかはゆったりとした大きめの白い上着に青色のズボンという服装だった。足元には白いスリッパを履いている。
のぞみはしずくの淹れてくれたコーヒーを飲んだ。その味はいつも通りとても美味しかった。(しずくさんは水が違うんだと言っていた)白いマグカップ。今では私専用のマグカップだ。とコーヒーを飲みながらのぞみは思った。
開きっぱなしの窓からは気持ちのいい森の風が吹き込んでくる。その森の匂いをくんくんと嗅ぎながらのぞみはもう一口コーヒーを飲んだ。
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