第10話 カウンターアタック
ナローアレイ、ロストコーズ、インディサイシブの3艦がワープアウト。神命で指定された合流地点では既に戦闘が行われていた。
未確認の大型艦に、6隻の戦艦。そして戦闘機群。これらと対峙する、たった1機のORCA所属の信号を発している戦闘機、そして後方にも同じ信号を発する3隻の船と2機の戦闘機。
『もうすでに大ピンチのようだぞ!』
『すぐに援護します!てんちゃん、味方の人達とのコンタクトお願い!』
「わかりました!」
てんは味方艦へ接近をしながら、呼びかけを続けた。
『こちらシンデン!救援に感謝する!』
戦闘機から返答があった。
「僕たちも戦闘に参加します。状況を教えてください」
『ここに来た直後にあいつらに奇襲された。今動けなくなった船の生存者を無事なのに収容させて退避するとこだったが……あんたらが来てくれたなら話は別だ!』
「まだ、戦えますか?」
『ああ、一緒にやろう!!』
てんの確認に勢いよく答えたついでにカニを撃ち落として、シンデン機は一旦後方へ戻り味方と再集結をする。
「おい、反撃の時間だ!」
シンデンが声をかけると、ガンバが泣きそうな声で帰還を称える。マシカクも気合を入れて、それに応じる。
「エンバランスドはどうだ? 参加できるよな?」
『いけます!』
駆逐艦エンバランスド、戦線復帰。3機の戦闘機がそれに先行するように編隊を組んで飛行する。
インディサイシブが敵艦隊に牽制を仕掛けると、6隻の敵艦はのうちの2隻が反撃のために進路を変える。残りはなおも前進、ナローアレイとエンバランスドの方へ向かってくる。
ロストコーズは分断した敵艦2隻と交戦を開始する。今回の敵は初めて見るタイプで、外見は相変わらず特徴的でエビのような姿をしている。
『敵の武装がわからないので、直線的にならず足を止めないようにお願いします!』
『ああ、回避に専念する。どっちかは頼んだぞ!』
インディサイシブを追う2匹のエビ、それをさらに追う形でせりなが攻撃を試みる。
「艦長!敵艦が急減速!」
ロストコーズの乗員が叫ぶ。エビ達とロストコーズの距離が一気に縮まる。
「——ッ!速度維持、左旋回しつつ近い方に攻撃集中!」
曲がっていたエビの尾が伸び、ヒレのような部分が回転する。これは砲塔のようだ。
ロストコーズに向かって2匹分の砲口が向けられる。
「お願い……!」
せりなは祈るように呟きながら、シートの手すりを握り込む。
攻撃は同時になった。ロストコーズの艦砲射撃は片側のエビのシールドを撃ち消し、そのまま船体を何度も撃ち抜いた。そして同時にエビの尾ヒレから扇状に発射された連装粒子砲は、回避機動をとっているロストコーズの艦後部を捉えていた。
エネルギーシールドが敵の攻撃を大きく減衰し、艦表の装甲材に施されたコーティングがさらにそれを受け止める。
「ああああっ!!」
船全体が揺れる。
「攻撃命中、目標の敵艦は沈黙!こちらの損害は軽微です!」
『転回した!そっちを援護する!!』
インディサイシブが機動を変え残るエビに狙いを定める。
「その船で一番デカい武器はなんだ?」
『一体型のMAGが最大火力です』
「連射可能なタイプか?」
『僕の船のは単装です。最大パワーでのリチャージは140秒程かかるので連射はできないと思ってください』
「わかった。目標を指定するからそいつで援護してくれ。俺らで引き付けるか足を止めるかして狙えるようにする」
てんと簡単なやりとりをおこなってすぐ、シンデン率いる戦隊が加速し敵艦との交戦を開始する。
「エンバランスドは無理すんなよ。詰めすぎす、ちょっかいをかける程度でいい!」
若干突出気味だった敵の1隻に狙いを定め、3機の戦闘機で攻撃を始める。
「仕留めなくて良い!このまま突っ込め!」
最初の敵艦に攻撃を浴びせつつもそのまますり抜け、奥の艦に接近していく。
エンバランスドが少し遅れて追加で砲撃を浴びせると、エビは反撃のため進路をそちらに向けていく。
「いいぞ、一匹離れてった!ナローアレイ!まず最初の目標はそいつだ!」
シンデン達はエビ戦艦の対空攻撃を掻い潜りながら、新たに目標として定めた1隻にまとわりつくように飛行する。取り付かれたエビは対空砲を吐き散らしながらうねうねと回避機動をとっている。
『シンデン!他の敵の砲塔がこっち向いてやがるぞ!』
「もろともタイプかよ。それならそれでいい!それぞれのタイミングで離れろよ!」
他の2隻が、シンデンの隊を落とすために砲撃を加えてくる。3機は散開し、回避機動に専念。
先程まで彼らにまとわりつくかれていたエビは当然射線上にいるため仲間のエビたちからの攻撃をモロに受けることになる。
『いいぞ!シールドがトんでる!』
「ご苦労さんだな!」
各機がそれぞれ砲撃を回避しつつ旋回し、シールドに穴の空いた哀れなエビを集中攻撃する。
『まずは一丁!』
「いや、二丁あがりだな」
エンバランスドが引き付けて直線的に誘導したエビも、丁度ナローアレイのMAGを受けて大破したところだった。
『数的有利ですが、こちらも前に出ますか?』
「いや!気になるやつがいる。そのままで援護を続けてくれ!」
てんの提案を一旦は保留。シンデンは残るエビの攻撃を回避しつつ、こいつらの生みの親のタコにも目を配る。以前変わりなく、この状況でも動いてこない。戦闘機の排出も収まっている。
「これで打ち止めだってんなら、叩き潰してやるよ」
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