第36話 バスツアー 3

浮遊大陸に上陸用の昇降機で移動する。


浮遊大陸と自転速度が異なるので固定型の昇降機は使えない。


プロペラのないドローンみたいな乗り物がある。


反重力鉱石が採れるので飛行する為に加速して浮力を得ると言う必要がない。


飛ぶと言う事が低コストで可能だ。


「バナナ畑?」


浮遊大陸の農地の一面にバナナが植えられている。


「カカオの木は日差しに弱いのでバナナと一緒に植えられているんだよ。」


ここでもアーフが運用されているみたいだ。


髪色も瞳も紫色をした少女がアーフと一緒にやってくる。


「いらっしゃいませー。ここクツシタノアナ国営チョコレート工場は5万年の歴史ある老舗なのよ。」


「この星がカカオの原産地だったの?」


アキが質問する。


「違うわー。5万年前にこの星に干渉して来た文明レベル第3種知性体が持ち込んだのよ。」


「じゃあエデンでも1万年前ぐらいに高度知性体が干渉してマヤなどにカカオを持ち込んだって言うわけなのかな?」


浮遊大陸のチョコレート工場は出入り口を除いては大陸の内部の空洞部分に建築されていた。


チョコレート工場ってどんなのかなーって、チョコレートの川とかがあって、チョコレートフォンデュのお店みたいな噴水があったりーとか普通期待するでしょう。


なのに、何だこれ?

地上からベルトコンベアの様なもので発酵済みのカカオ豆が愛想のない四角い機械に投入される。


すると反対側についた沢山の出口から色々な包み紙やパッケージに入った完成品のチョコレートがどんどん出て来る。


全部自動で、注文して来たお店の希望に合わせた商品が出来上がるそうだ。


製造過程なんか全然わからない。


工場を見る意味なくない?


でも工場の中にあるショウルームがすごい。


色々な種類のチョコレートがいっぱい並んでいる。


即売もしているので大満足だ。


高度知性体が下位知性体の星に来る理由としてカカオの栽培があるって言われる。


チョコレートは高度知性体の主食だから。


植民地化してプランテーションをつくって、住民に生産管理させるために少し原住民を進化させる?


それは嘘、だってアーフをいくらでも作れるのに原住民を使う必要なんかない。


さらに言えば高度知性体が他の惑星やその住民から得なくちゃならないものなんか何もないはずなんだ。


なのに何故?




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