第14話 変化する辺境惑星

なんだろうこの夜空。


生まれて初めてだ。

空いっぱいに星があって、天の川がこんなふうに見えるなんて。


空気がものすごく澄んでいる。


朝まずめを狙って漁に出た。

空だけじゃなくて海も澄んでいる。


ダナンの海の上で小舟に乗って釣り糸を垂れる。


あの異星人はPM2.5などの空気汚染を解消した。

また海中のプラスチックやゴミなども全て回収して資源に戻した。

汚染はなくなった。


彼らは無駄とか汚染をひどく嫌う。


おかげで何もかもきれいになってしまった。


多分、地球人の力だけでは出来なかったか何百年もかかった事がたちまちの内に解決してしまった。


今はこれらのことをする為の知識や技術は惜しげも無く開示されて、必要とする技術者には直接脳にダウンロードすることが出来るようになった。


今は必要な知識は誰でも好きなだけダウンロードしてインストールすればいいし、それによって出来る事に努力や才能や適正なんて要らない。


望むか望まないかそれだけの事。


そしてほとんどの実務はアーフか可動AI端末がアカシックレコードにアクセスしながら行う。


危険だったり、精密だったり、力が要る事でもなんでも出来る。


文明が進むと自然は管理され守られるのか?


すでに地殻の動きや気象もコントロールされようとしつつあるらしい。


徐々に明るくなっていく朝の空には今まで闇に隠れて目立たなかった巨大な航行器が現れる。


この惑星にどれだけの種族の異星人が集まって来ているのだろう。


ついこの間までは宇宙人なんかいないとか言う者がいたり、宇宙人の存在がミステリーだったりしていたのが嘘みたいだ。


宇宙がこんなに賑やかだったとは全くお笑いだ。


回収されたスペースデブリはただの人工衛星やロケットの残骸として各国の宇宙開発事業を行なっていた事業者に戻された。


作成当時はものすごく高価だった素材や回路などが山積みになっている。


宇宙空間にあったので錆びたりはしていないが樹脂製のパーツは強力な紫外線に晒されていたせいで完全に劣化している。


もちろん独裁国家の代表様の元にも散々打ち上げたミサイルの残骸が帰ってきている。


その中には勢いで打ち上げた核ミサイルの弾頭もあった。


別にゴミみたいになったミサイルになど関心もなかった技術者が代表様に命じられてイヤイヤ確認に来ていた。


廃品置き場に転がっている金属の塊に気がつく。


パイロットランプみたいなものが明滅している。


「あれ?これまだ活きてるじゃん。」


思う間もなく世界は白い光に包まれた。


核の光は代表様の居住地と首都の殆どを包み込んでその後巨大なキノコ雲を生成した。


独裁国家はその機能を失った。


キミちゃん帝王様は航行器内部の管制室でモニターを見ていた。


「帝王様あれ知ってましたよね。」


側近の一人が言う。


「自滅したい奴の面倒までは見きれないのじゃ。」


「アーフを送り込んで放射能の洗浄と暫定政府の立ち上げをしてやれ。」





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