第8話 商材発見2

「シンちゃんったらまだ11歳なのにこんなに沢山の女の子お持ち帰りして来たの?」


みんな異星人や人造人間だし。


こんなに沢山の人は入れないんじゃないかな?


と思うとそうでもない。


なんだかリビングがすごく広くなったような気がする。


「空間を拡張したのじゃ。」


キミちゃん帝王様が言う。

「相対的に我々や置いてある設備のスケールを縮小しただけでもある。」


「我々の球体型移動器も同じ技術を用いていて一つの器に惑星が6個入っている。」


「帝国は貧乏性なのよ、なんでもかんでも全部持ってあるいて。あれもこれももしかしたら使うかもしれないってカバンを重くしてしまうママと一緒。」


「うるさいわしはおまえのママではないわい。」


「私は簡単に本星と行き来出来るし、なんでも取り寄せられるから、そんなおおげさな物は要らないのよ。」


ピータンが言うと。


「でもスーツケースにおやつや洋服をいっぱい詰め込んでて到着が遅れたんだけどね。」


アーフに暴露されてしまった。


似たようなものって感じ。


キミちゃん帝王様とピータンが話している間にもアーフ達や帝国の人達は漫画やテレビを見ている。


「面白いわ。」


「人種にこんな激しい情動があって、それを再構成したり表現することが日常的にあって、それを消費する文化があるなんて。」


「うん、なんて無駄な知性の消費。こんな事同じ知性レベルの種族でも思い付きもしない。とても異質、とても特殊、まさにスペシャル‼︎」


「感動?多分何万年かぶりの心の動きじゃ。」


「これなら何万年も生きて生きることに倦んだ人達を楽しませることが出来るわ。」


「こんなものを作ることに知性を消費する種族がいたなんて驚きじゃのう。」


「ペコ人は芸術だとかエンタテインメントとか呼んでいるのね。」


「これは取引をする価値があるのじゃ。」


ここで問題発生。


誰から買う?何で支払う?


本来ならこれらコンテンツの作家と交渉して対価を支払うのが筋なんだけれど。


全宇宙がマーケットという中にこの辺境惑星をいきなり放り込むと...下手な事をするとこの惑星の経済や社会を破壊してしまう。


こんな場合通常なら星単位での取引として作家との交渉は対象となる星の統合政府と交渉するのだけれど。


辺境惑星ペコの場合、多種の同じ知性レベルの種族がいて国家や政治形態、宗教などがある。

おそらく普通では統合出来ない。


まだ惑星間で交渉を行うレベルに達していないのだ。


「じゃが惜しい。」


「そしてこの段階で私達が手を引くと連合非加盟の惑星の餌食になって壊されてしまうわ。」


「そうじゃ、この惑星は見つかってしまったじゃろうな。」


「あいつらが乗り込んで来たらこの惑星は一方的に刈り取られてしまうわ。」


「まあ、安保条約が締結されるまではわしが蹴散らしてやってもいいがな。」


キミちゃん帝王様が「がはは」と笑う。


「あんたの好きなようにもされたくないわ。」


「わしは悪もんじゃないぞ。」


「わかっているけど悪もん面よ。」





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