第二章 教場を離れるという意味

第24話 目標あれど道険しし

太陽が眩しい。日光しばらく浴びてなかったから、ビタミンDが不足してる。たぶん。

その視界の遮断はすなわち馴染みの地上に足を付けたことを指す。

しかし、ふと気がかりに思ったことがある。

「ねぇ、冬華さん、今更なんだけど、残った研究員の人たちってどうしたの?」

「あぁ、それについては心配不要だ。現在アリエボを埋め込んでいる人のみを残して、他全員は記憶を改竄してそのうち外に出ていくようにコントロールしている。

アリエボを埋め込んでいる人はこちらである程度制御できるのと、それから信頼している人物のみである故、研究所に残して別の開発に尽力してもらっている。」

「結構非人道的なことやってるよね…それ。」

「別に人体に影響はない。外部の組織と繋がっていた者がいたことに対する連帯責任とでも思えばいい方だろう。」

「連帯責任って…冬華さんは敵に回したくないよほんと。」

「私が櫻良の敵に回ることにメリットはない。そんなことは起こらないだろう。」

「良くも悪くも利益主義だよねー…まあいっか。

あそうだ、ヴィエロクスマウス放置してきたんだけど大丈夫そう?」

「研究員の内に隠忍解除できる者がいる。こちらから連絡を飛ばしておけば問題ないだろう。」

「あはは…ほんと都合がいいね?」

「とは言っても私の管轄内のみだ。才斗が置かれた状況に対しては何もできない。」

「………。」

そう、にーには俄然呪印メレディクションに蝕まれている。

解呪の目処もたっていない。

「"鑑定"」

体力にはまだ余裕があるが、念には念を入れて高い状態で保っておきたい。

"精製"を用いて"調理"したリキットは回復ポーションと名付けておこう。

その回復ポーションをにーにに飲ませた。

「あ、そうだ、教場ってどうしたの?」

「ん?才斗も櫻良もやめるように仕向けておいたが?」

「なーにこの子サイテーじゃん……」

「私は年上だぞ。」

「そんなおこちゃまを正しい道に導くのが大人なんじゃないんですかーー?」

「どのみちあのまま在籍していても追い出されることになっていたのだから、タイミングの問題だろう。」

「んえ?なんで追い出されるの?」

「あらゆる人間から狙われるやつを留めておくようなお人好しは身内である櫻良くらいだろう?」

「…なんで私たちが狙われるの?」

「才斗は今後狙われるようになる。分かるだろう?彼は世界に好かれ過ぎたが故に嫌われる運命にある。まあ私はついていくがな。」

「要はお兄ちゃんが強すぎるってことね。確かにわかんないこといっぱいだけど、写真に収めるだけで一方的に…ってよく考えなくてもやばいもんね、私的にこれは誇るべきことなのかそうじゃないのか…。んーっと、それなら冬華さんはお人好しってことで?」

「…勝手に言ってろ。」

「そんなつんつんしないでよ~~」

「うるさい。ちゃんと前見て歩け。」

「はいはーい。」

…これから、どうすればいいのかなぁ。

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