第11話―正徳寺の会見ロケーション御堂―
岐阜県内では誰もが知る最大の企業。
県内では最大企業までにした斎藤道三は、たびたび部下から織田信長は馬鹿と聞く。
その都度あの婿はそれほど愚かではないと言ったが噂が大きくなり斎藤道三もいつしか頭の片隅にそうではないかと抱くようになった。
――先ずは会ってみて判断するとしよう。
見極めるために正徳寺へと招待。
しかしタイミングが大事。慎重な岐阜のマムシが腰を上げたのは吉報。
織田家が経営する会社では教養の高き平手政秀の死から地盤の足元が揺らいでる状況。
「ライバル企業からの突然の誘いを受けてくれると思ったものよ。
くっくく、弱っている心というのは本音や素顔を出しやすいもの。人物を観察させてもらうぞ」
目立つような格好を好むと聞いた斎藤道三はサプライズとして部下を上品な
その御堂は、仏像を安置している堂のこと。
「通過する前方を出迎えるには左右にするか」
道三はそう呟くと部下に並ぶように指示を飛ばす。
総勢は、700から800人ほど。
まるでここが貴族のような由緒あり正しい雰囲気を醸した演出に満足して頷く。
そして道三は、せっかくだからと小屋に隠れて覗き見てやろうと考えた。
「楽しみだ。婿がどんな顔で仰天するかを。
くっくく、さあ早く来るがよい」
心待ちの斎藤道三。
すると行列がやって来た。
「ッ――な、なんだあの武装した行列は……」
ただ顔合わせに約1000の人数で現れた。
「それだけではない。槍の長さが通常の三倍をしており朱色の柄をしておる。
それに鉄砲まで異様な数を揃えておる」
戦国時代になってからは世界では類を見ないほどの数を所持していた。
大量生産したといっても高価であり造るのも原料は海外を頼っているのもほとんど。
信長公記で箱の1000という数での移動したことはいくらなんでも戦いに行くようなもので懐疑的であり実際は少ないであろう。
さておき道三は言葉を失ってから立ち直ると、これだけを揃えておきながら信長は私服といった粗末な格好に道三は噂は本当かもしれないなと思った。
それから小屋を出て御堂に顔を出すため動く。
聞いたところによれば信長はここへ出向くのに木曽川・
――道三が向かっているなかで織田信長は仕切りとしての
自分の部下から「どうやら馬鹿な振る舞いをしていたのは全て演技だったわけか」と目を白黒となって独白する。
立派な身嗜みをして御堂へと進む。
「ここか」
縁の上がり口で足を止めていた織田信長の立派な和服に袖を通された堂々とした姿に驚きながら。
斎藤道三に腹心である男が近づいてきた。
「お早く、おいでなさいませ」
声を掛けたのは道三の信頼している
「…………」
知らぬ顔で出迎えた堀田道空を横切っていき、居並ぶ斎藤道三の部下が前を通っていき縁の柱に寄りかかった。
堀田道空は無視された上に立って待つことの傲岸不遜な振る舞いに苛立ちをおぼえた。
しばらくして斎藤道三が御堂に入られてきたが信長は反応はせず道三までも反応を示さなかった。
この異様な空気に参列した者はどよめく。
堀田道空はしかたなく信長に近づく。
「
堀田道空がそう放った言葉に意訳したら。
ここにおられるのは斎藤道三殿です。
「お出てになったか」
「そこにいたのか信長」
信長は静かにそう言うと道三は目を丸くして遅れて気づいた。なお解釈にもよるが斎藤道三が、信長が格好を変わったことで気付かずに声を掛けなかったとも見方もされる。
さて対面した二人は話し合いをして堀田道空は湯漬けを持ってきた。
「なんと湯漬けを出してくれるとは……ご飯を湯でかけるだけで美味しいんだよなぁ。
うわぁ、やべぇ!やっぱり美味しいぜぇ」
「お気に入りいられましたかな婿殿」
「大変に絶品であります。ここへは商談を兼ねてもあって来たのですが情けないことに湯漬けを前に見苦しいところを。くうぅ……うめぇ」
むしゃむしゃと織田信長は出された好物の湯漬けを頬張るのだった。
そして視点は――斎藤道三に戻る。
正徳寺の会見は終わった。帰っていくのを見送った斎藤道三はどこか疲れた息を吐いていた。
これに会見の始終を隣で見てきた
「はっ、はっは!やはり信長は噂にたがわず。
うつけですね」
「いや、いずれ息子らの首を馬の門に繋ぎ止められるだけの実力を備えておった」
「は、はぁッ!?」
どうしたことか、その言葉に困惑する家臣。
斎藤道三はこの会見で織田信長を底の見えない才能に戦慄するのであった。
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