恋の相手が敵国王子で、しかも襲撃で盲目となった私だが、魔法道具の義眼で敵国の王子と結婚を夢見る。
長尾水香
第1話 王子との出会い
私はアーチェリー。魔法道具に大航海、そして経済発展で商業が盛んの国にある小さな町の一軒家に住む10歳の町娘。
その一軒家もストリートにあって、今日、私はお買い物という家の手伝いがある。私のような町娘は商業でお金を稼ぎ、計算や文字を学ぶことなどは家庭教師に学んでいる。
お父さんとお母さんと私の3人暮らしで、家庭教師は平日に来る。
両親との関係は良好で家庭教師も教え方が上手だから勉強も得意になる。
時々その家庭教師さんと食事をしたりする。ちなみに家庭教師の名前はシーナ先生。18歳の女の子だ。見た目は大人っぽくオシャレなドレスを着た私にとってお姉さんのような人。
お買い物をしていると今日は休日なのにシーナ先生に会う。
「あっ、シーナ先生」
「あら、アーチェリーちゃんじゃない」
「今日は勉強休みじゃないの?」
「そうだけどね。宿題はやった?」
「もちろん、お手伝いの前にやったよ」
「あら、偉いわねえ。明日確認するわよ」
ギクリとした表情の私にシーナ先生は確信する。私が宿題をやっていないことに。
「ああ、その表情はやってないわね」
「ばれた」
「そりゃそうよ。まあ、やってなくたって提出しなくていいわよ。その日に理解出来ているかテストするから。それで出来ていたらやったということで」
「うわあ、プレッシャー」
「テストは理解出来ているかの試験よ」
「はいはい、復讐します」
「分かっているの?」
「分かってますよん。今度シーナ先生が来るのって明後日でしょ? 今日お手伝い終わったらやりたいことあるの」
「何かしら?」
「東国の王様が船でやってくるみたいなの」
「ああ、東国のねえ。その東国の王はジパーンっていう島国の王様で東国を統一しては北国と戦争中と聞いているわ」
「今日の昼にその東国の王様のお子様達、つまりシーナ先生から教わったことだと王子様なのかな?」
「まあ……そうね」
「その王子達を見れるんだよ。私東国の王子様を見たことないから、見てみたいなあ」
この時の私は目をキラキラしていた。王子様はこの町で見たことない。だから会ってみたい。
「まあ、いいんじゃない? でも宿題はやっておいたほうがいいわよ。テスト出来なかったらやっていないという事になるからね」
「はーい、東国の王子様を見たらやりま~す」
私はシーナ先と別れると買い物を済ませ、東国の王子様を見れることを楽しみにしており、ニヤニヤして家に帰る。
「ただいま~お母さん。りんごとはちみつにスパイス買ってきたよ」
「おつかれ~今日はりんごとはちみつ、スパイスでカレーライス作るわ」
「カレーライスかあ。東国の南にある国のご飯だね」
「東国の事をその年で知るなんてすごいわね」
「まだまだだよ。さっきシーナ先生に会って怒られちゃった。宿題やれって」
「あら、でもそれは明後日まででしょ?」
「今日中に終わらせるよ。ってか明後日テストするって言ってたから今日と明日でやらないと」
「勉強熱心ね。それで出かけるって?」
「東国の王子様を見に行くの」
「そう……北国を簒奪しようと企む侵略者と聞いているわ」
「大丈夫だよ。きっと優しくてかっこいい人なんだと思うなあ」
私はドキドキする気持ちで顔を赤くしてほっぺを両手で触る。そんな能天気な私をお母さんは叱る。
「見に行くのは問題ない。この町の商館に来るって私も聞いてるから。だた迷惑はかけるんじゃないわよ」
「はーい」
私は元気に家を出て商館行く。すると、誰かとぶつかって転んだ。
「いやあ」
「あっ、ごめん。大丈夫?」
「いたたた。擦りむいた」
声をかけてくれたのは私達西国の顔立ちではない白人。東国人のようだ。その格好というのが西国では見られない緑色の着物。年齢は私と同い年の少年。何者だろうか?
「ああ、膝怪我してる。すぐに治してあげるね」
「ありがとう……ございます。それであなたは? その格好は?」
「ああ、この格好ね。そうだ。人のいないところに」
「えっ、ちょっと!」
彼は私の腕を掴んで人のいなさそうな公園につれていった。
「あれは座れるんだな?」
「ああ、はい。ベンチには座れます」
ベンチを指さして私に聞いてくる彼。どうやら西国の事は分からないみたいだ。
私は彼とベンチに座ると彼は緑色の液体と包帯を用意して私の怪我を治してくれた。
「これで止血出来たと思う」
「今の液体は何ですか?」
「東国の塗り薬。ジーパンの薬師が作ったものだけど、ここの薬師の方がすごいよ」
「そうですか? でもこの薬は痛くない。塗り薬はしみるし嫌い」
「そうだね。飲み薬は苦いし、塗り薬は痛い」
私は彼に名前とその服装は何なのかを聞いた。
「あの、よろしければお名前をお聞かせください。その服装の事も」
「名前か。名乗るにはそちらから名乗る」
「えっ?」
「東国ではそういう教えがあるんだ」
「そうなんですか。それはすいません」
「いいよ。それで君は?」
「アーチェリーといいます」
「アーチェリーか。俺はサイダ。サイダ・オーマ」
「オーマって苗字?」
「ああ、これでもジーパンの王の息子なんだ」
「そっそれはご無礼を。私のようなものが」
私は王様の息子と聞いて慌ててひざまずく。
「ちょっと、やめてよ。大声出さないで」
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