霊感《れいかん》

 俺は霊的なものは信じているのだが、

「霊が見えます」という人のそれは信用していなかった。

  

 俺の友人にも霊が見えると言う者はいる。

  

「エッチしてる時に霊が見えたらどーする?」という俺のアホな問いかけには

「その時は見えなく出来る」という答えをくれた。

  

 参考書の暗記シートみたいに消したり、見えたり出来きんの! すげーっ! と昔の俺なら思う所だが、俺の足の匂いよりもただよう嘘臭さ。

  

  

「見せてもらおうか、霊感の性能とやらを」と言ってみたかったが、言わずに俺は行動に移した。

  

 真実を知る為、俺は友人をドライブに誘い、地元でも噂の心霊スポットに車を走らせた。

  

 友人にはどこに行くのかは告げず、ただ心霊スポットを横切り反応を見てみる事にした。

  

 時間は真夜中、楽しく談笑だんしょうする車内で刻々こくこくと心霊スポットへと車を走らせる俺。

  

 友人は何も気づかず、会話をしている。

  

 心霊スポットに差し掛かった辺りで友人に反応が見える。

   

「うわっ! ちょ、手が出て来た!」と友人。

  

「な、な、な、な、なにっー!」と俺も「な」を連呼れんこするが、見えていないので鼻をほじる余裕くらいはあった。

  

「手が車に触ろうとしてる! 早くここから離れて!」と友人。

  

 車移動だったので、すぐにその場からは何事もなく立ち去る事が出来た。

  

 検証結果けんしょうけっか「見えてはいた」これだけ分かる事が出来たので良しとしよう。

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