わたしを愛せるなら

昼飯のあと

ついまぶたが重くなってしまう


悩ませていた悪夢の形を

わたしは ついぞ思い出せなかった

ティーカップからこぼれた紅茶は

ほよんと服に、飛びついていった


昼飯のあと

ついまぶたが重くなってしまう


消せない染みも、ありふれた香りも

わたしの心にみていく

この身体は呪いにむしばまれていた

つい先程、つい先程までは――。


いくらはらえど

心に、身体に、虚無は訪れない


でも忘れたくない


わたしのもろい指先が

そっと、わたしを支えてあげられるのなら


【参考・引用】

蜂蜜ひみつ/てんとれないうらない/

第34話

昼飯のあと ついまぶたが重くなってしまう

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る