謝罪は大切ですよ


 「ん……朝か?」


 俺は目を覚ました。

取り敢えずはこの場所から離れよう。そしてサラを探しに行こう。どうして救ってくれたのか、そして前に何があったのか、それを知りに。 今日というか、昨日の俺が、レイルドの言葉を無視してから、一言も発さず、沈黙を通してる。

 まあ俺自身も昨日の一件は100俺が悪いし、少しは反省してる。どうするか少し考えなくちゃいけない。


 1.すぐに謝る

・シンプルで一番オーソドックスな選択だ。

 大体はこれで許してくれることが多い。しかし相手が本気で怒っている場合に限り、「謝って許されるなら警察要らない」や「そんなんで僕が君を許すと思う?」と言って、更に険悪なムードになる可能性有。


 2.何事もなかったかの様に話す

・仲の良い友達に限り有効。逆に出会ったばかりの時や自身が確実に悪い時に使うと、亀裂が入る可能性大


 3.遠回しで謝る

・さりげなく昨日の話を持ちかけ、相手から本題を誘い出してそのタイミングで速攻で全力で謝る。

 結構許される率高め(ソース俺)

 しかし、この戦法を使い相手に無視されると、マジで気まずくなるし、もしバレることがあったとしたら更にまずい。


 4.無視

・無視と言うより時間を置く。

 ある程度互いに時間をかけ前のことを忘れさせる。

 相手にも非がある場合は不適。


 昨日はかなり俺を全力で止めに来ていたから、余程まずい事だったんだろう。1は無しだな。

 個人的には2でもいい気がするが、まず話しかけてこないだろう。逆にダル絡みすると、あっちからもちょっかいかけてきそうで更にめんどくさい。

 となるとやはり無視になる。


 そして無視を決めた俺だが、当然この土地がどんなのかを昨日の1日で完璧に覚えるのは無理があった。

 恐る恐るだが、いろんな店を窓から歩いてるふりでこっそりと眺めて、どんな店かを確認する、奇人の様な動きで周りを寄せ付けない。


 周りのことなんか気にしてらんねえ、まずは目先の自分の安全からどうにかしなければ、、、


 「くそ、、1人じゃ無理か」

 

 ここで昨日の事を後悔する。

 何事も1人でするより誰かの力を借りる方がはるかに楽で、効率的だ。自分1人で出来るからって、わざわざ味方を減らす様なことをした自分がいまでは考えらんないぜ。


 やっぱり謝るか、、そう思った時、声が聞こえた。


 「困ってるね?君は1人じゃ何も出来ないのかい?」


 レイルドの声だ。

 その声はいつもの様に優しく語りかける様な声だ。

 その声に俺は安堵と申し訳なさが込み上げてくる。そして俺はちゃんと言葉を選んで────

 「悪かった。俺が悪かった」と謝る。



 「うん君が完全に悪い。けど、あの言葉を聞いて僕は君に期待することにしたよ」

 「どうしてなんだ?」

 

 俺は訳がわからなかった。

 期待?どこに俺の期待する要素があったんだ?不安要素しかなかっただろうに?何も思い浮かばず、少し細い道に隠れる様に入り込み、聞いてみる。

 

 「前世でどうせ君は僕と同じダメ人間だったんだよね?」

 「どうして分かる?」

 「見てたら分かるよ。

  君はどこか世界が自分を中心に回っていると錯覚しているんだ。」

 「………」

 「いつか上手くいくそう心のどこかで無意識的に考えているんだ。

  僕もそう思ってた。

  でも実際はそうじゃない。

  周りから見たら自分なんかどこにでもいる普通の村人Aなんだ。

  記憶にすら残らない。

  けど君は自分の力で他の人に『俺はここにいるぞ!!』って示した。

  違ったんだ。僕とは……

  だから、、これからは君の行動を僕は信じるよ強い人は君みたいにね、正解を自分が作る人なんだって思ったから。」




 レイルドもやはり、前の俺と同じ人種だった。

 『いつかは上手くいく、今回は仕方ない次だ次。』って嫌な事から目を逸らして、

 『何であの人ばっか……』って大した努力もしてないのにその道に命を賭けてきた人達の功績だけを見て勝手に妬んでいたんだ。『どうして自分じゃないんだ』と、、、

 それにレイルドは自分で気づくことができた。そして俺も理解できた。

 昨日言ったあの言葉で、レイルドは勝つ人は自分をそして大切な物でさえも勝つためなら壊す事を厭わないと言う事に気がついたんだ。



 でも、流石に言い過ぎたので少しは怒られた。

 反省もしっかりしている。

  

 4番はやっぱり正解だった。




 

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