35話  元王様の処遇

「で、元王様。あなたからは全権力を僕に譲ってもらいますね」

「ふざけんなあ! 横暴じゃ! はっくしょい!」


 裸の元王様はぶるぶる震えながら鼻水垂らしてる。


「とりあえず僕がこの国の指揮をとってシグマと戦うよ。首領封印されてる今がチャンスだからね」


 え? マジで封印解かないで勝利するつもりかって?


 うん!

 この物語はボスと戦わずに終わるからね!


「誰に言ってるんじゃリブラあ! 渡さんぞ! 王の座は渡さんもんね~あっかんべー」


 ……いい歳した爺さんがあっかんべーって……


「こうなったら田中のおじさん! 一緒に奴らを倒すぞ!」

「え、なんでおいらが……」

「つべこべ言うな!」


 と、元王様が田中のおじさんを蹴っ飛ばす。あ、でも目の前には……


 元王様に仕掛けるつもりだった剣山が用意されてるんだけど。


「あああああえ!」


 あらま串刺し。血吹いてるよ田中のおじさん。


 あれ? この血の量はまずいか?


「輸血輸血!」


 僕が指示するが……田中のおじさんって血液型はなに型だろうか?


「その心配はないわい!」


 なぜか胸はって自信満々な元王様。


「そこの双子!」


 僕らの仲間になった双子ちゃん、ジェイくんとミニちゃん二人を指差す。


「なあ」

「にい?」


 双子ちゃん達は首をかしげる。


「お前達の血を輸血すれば田中のおじさんは助かるわい。なぜなら……」


 すーっと深呼吸してから、大声で叫ぶ。


「お前ら双子が田中のおじさんの子供じゃからじゃ!」


 うるさ……


 て、え!?


「なんだって!? それは本当かい元王様!」

「元つけるな! というか敬語つかえい!」

「いいから」

「間違いないぞ。だってこの設定資料集に書いとるからな」


 と、厚めの本を僕に見せてきた。設定資料集ってなんだよ……


「設定資料集は設定資料集じゃ」


 わけわからん。


「ここには田中のおじさんの赤裸々な情報もある。まず身長155センチ体重62キロ。毛根は前回の処刑で焼失し、ロン毛のカツラを装備」


 なんで前回の処刑の情報ものってるんだよ。


「趣味はギャンブルと飲み歩き。好みのタイプはふくよかな人。スリーサイズは……」

「や、やめ……て。恥ずかしい……」


 死にかけ状態の田中のおじさんは照れて止める。

 おっさんのスリーサイズなんて誰が知りたいんだよ気持ち悪い。


「ふくよかな人が好みねえ……だから佐藤のおばさんが……」


 まず佐藤のおばさんが誰だよ。前にも話出たけど作中に出てない人を話にだすなよな。今後も出てこないし。

 ※本当に出てきません。


「佐藤のおばさんは二メートルを越える巨漢で、田中のおじさんを片手で運べるパワーの持ち主じゃ」


 あ、そう……

 ふくよかというより縦に長い方なのね……


「話を戻すと、そこの双子は田中のおじさんの姉夫婦の忘れ形見。そこで田中のおじさんが引き取った、れっきとした田中のおじさんの子供じゃ!」


 衝撃の事実に双子ちゃん達は……


「ええー!」

「こんなおじさんの」

「子供だなんて」

「いやあ~」


 ゲーっと吐くような素振りを見せて嫌がる。


 ……前に田中のおじさん見ただけでイラつくとか言ってたが、親子だったからなのか? 田中のおじさんも当たり強かったし。

 とはいえ記憶はみんな、無いわけだが……


「はっは! どうじゃ! ワシのおかげで田中のおじさん助かるぞ!」


 いやそもそも田中のおじさんが死にそうになってるのあんたのせいだからな?



 ……ん?


「ちょっと待って元王様」

「元つけるな!」

「姉夫婦の子供……つまり養子で関係性は甥と姪っ子でしょ?」

「うむ」

「実の親子じゃないからさ、血液型合わない可能性あるんじゃ……」

「え?」


 元王様は設定資料集を見る。


「あ、双子はA型じゃが田中のおじさんはB型じゃったわ! アッハッハスマンスマン」

「はい火炎放射」

「あつつつつつむつむつつつつつつつつつ!」


 なにわろとんねん。スマンで済んだら警察いらないよ?


 いや、この世界に警察はいないか。


「いい、から……ゆ、け、つ」


 あ、ハイハイ輸血輸血。



 ――つづく。




「元王様の情報、あてにならないね。でも親子関係なのは驚いたよ……」


「次回 敵組織への対抗策。あ、元王様の処遇決めてなかった……」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る