第31話 ハロウィンの再会

あの人がいなくなってから3年。

今年もハロウィンがやってくる。

キッチンでクッキーを作りながら、眉を下げて重いため息をはいた。


◇◇◇

トリック・オア・トリート

魔法使いや勇者、狼男、赤ずきんちゃん

様々な仮装をして、子どもたちがお菓子を貰いに扉をたたく。


私は先ほどオーブンで焼いたばかりのクッキーをラッピングして、南瓜のシールを貼る。

「さあ、どうぞ」


子どもたちはニコッと笑顔でお礼を口にする。

「ありがとう」


子どもたちは次の家へと赴いていく。


すると、再度扉がコンコンとたたく音がした。

「何かしら?」



ゆっくりと扉を開けると懐かしい顔が目に入る。

心地よい声が胸に染みる。


「トリック・オア・トリート」

はにかんだように笑って言葉にする彼。


私は涙を浮かべあなたの胸へと飛び込んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る