第28話 秋の月
暗闇の夜
当てもなくさまよう。
世界に自分しかいない気持ちになる。
頬から涙が零れた。
顔を手で覆う。
ふと頭上には一筋の光がふりそそいだ。
夜空を見上げると、宝石のようにキラキラと輝くお月様。
『傍にいるよ。いつだって君を見てる』
そう言ってもらえたような気がして、
私は涙をぬぐう。
口角を上げて、一歩ずつ歩んでいく。
鈴虫がリンリンと鳴り響く。
今日は中秋の名月。
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