第27話 新たな王

サヤ「国王様…開けてもよろしいでしょうか…?サヤ・ラシュールでございます。」




国王「ゲホッゲホッ…入れ…長くは話せんがな…」




サヤ「失礼いたします…」




ゆっくりとドアを開ける…




中はカーテンが開いていて明るかったが、ベッドにはヴェールがかかっており、中は見えない。




国王「結婚の件か…?」




ヴェールの中から尋ねる。




サヤ「はい。この度、少し急ぎ足ですがご子息…レド様と共に住まうことになりました。」




国王「そうか…喜ばしいことだな…レド、大切にしておやりなさい。サヤ殿のことは小さき頃から知っているだろうが…彼女は聡明で、お前を愛し…支えてくれるだろう。」




レド「もちろん承知しております、父上。」




国王「二人とも…顔を見せてくれ…近づくことを許そう…」




二人はそっとヴェールを開ける。




国王は酷く痩せ細っていて、腕を動かすことも困難に見えるようだった。




国王「サヤ殿…レドを支え、この国を…民を…幸せにしてくれ…そしてレド…大きくなったな。もう私は長くない…お前は王に相応しい。だから今、ここで王位を渡す。」




レド「父上……はい、私は素晴らしき王になり、この国を…未来を…創ることを誓います。」




サヤ「私はレド様を支える王妃となり、この国を繁栄に導くことを誓います。」




二人は胸に手を当て、敬意を表する。




国王「よろしい…これから二人は国王と王妃となり、この国を統べる者となる。民にも報せないといかんな…頼んだぞ…」




そう言い終わると、国王は目を閉じ……永遠の眠りについた…




レド「父上…天寿を全うされましたね…安らかにお眠りください…」




涙を流し、父の手を握る。




サヤ「陛下…いいえ、お義父様…お役目、ご苦労様でした…」




レドと共に手を握り…国王の魂の平穏を願った。




レド「父上の使用人たち…今までご苦労であった。これからは我々が国を統べる。民に報せるぞ!」




使用人たちは一礼し…




使用人「はい、陛下。前国王様の死去、そして新たなる王と王妃の誕生を新聞に載せましょう。」




その後…前国王の死去と新たな王、王妃の誕生が民に報せられた。




民は哀悼の意を表し、その日の夜…多くのランタンが空にあげられた。




前国王への哀悼と、新たな王の誕生を祝福して…

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