放課後勇者は忙しい~クラス転移の繰り返しで全員チート ただし本日ご機嫌斜めの為、巻きが入ります
山田みかん
僕らの日常?
第1話 いつもの?放課後
「ようこそ勇者様! よくぞこの国ご降臨くださいました!」
「勇者様だ !! 聖女様もいるぞ !! 」
「人数が多いぞ! やったぞ!」
─────あれ?やっちまいましたな。
どうも、こんにちは。所詮モブという名の第三者。単なる雑用係の田中です。
そして俺たち2年C組全員、どこぞの神殿のような広間に召喚された模様です。
そして今現在、キラキラ集団に取り囲まれています。
「─────ん?」
「あれっ?これ違うんじゃないか~ 委員長~なんか違う感じ~」
「委員長~。場所違わない~?」
戦闘態勢をとっていたクラスメイトが制服に不似合い、一部水泳用のゴーグルを上げ、このクラスの委員長事、二階堂君を振り返る。ちな、モブの俺は草刈り用。
突然の異世界転移にミリも動揺がない俺等は、クラス総勢25名からなるベテラン勇者勢。
─────異世界転移は、放課後の部活のような様相となっております。
俺達の異世界転移? 今回でもう、20?21回目ぐらいでしょうか。もう正直数えてない。
3回目くらいからか神域みたいな所で、錚々たるメンツの日本の神々様方と顔見知りになりまして、君たちばかり迷惑をかける、とか直接お声をかけていただいた時には、日本人の本能からかメッチャ恐縮した。
日本の神様たちはこの世界(?)においても上位格らしく、誘拐(?)された俺達を毎回毎回、異世界までお迎えに来てくれる、とてもやさしくって、とっても頼もしい神様軍団。
それに「大変だろう」と心配して、チート能力もくれた。それを元に異世界でレベルを上げ続けた結果、メッチャレベチ勇者軍団になりまして。
そんな異世界転移をやってると、相手のお決まりの舞台台詞なんてスルースルー。
何故って?めんどいじゃん。毎回毎回、自己中の主張なんか聞いてらんない。召喚という名の誘拐をしてる時点で他力本願もいいところ。
もう色々めんどいんで、問題の場所に直でシュッと移動して、キュッとやってサクッ帰還、という神様サイドとの共同作業をここのところしていたが、今回はどうやら、ここの異世界女神に邪魔されたようだ。
「ちぃぃ─────っ!」
銀縁メガネをカチカチさせながら、委員長の背後からオラオラオーラが立ち上る。
─────こええぇぇよ!マジでなんで俺、こいつの隣にいなきゃならないんだよ。
普段は品行方正、容姿端麗などとどこかの〇すぎ君だといわれるお人だが今日はマズイ。
眼鏡を押さえた指がめっちゃ高速で揺れている。眼鏡ってあんなに音なるんだ─────怖い。
「おお。いいんちょ、マジ切れ」
「ほら今日金曜日じゃん。駄目だよ~いいんちょの楽しみ邪魔したら、マジ消される」
「私もスタベの新商品、買いにいく予定だったのにさ~」
「あ~私も行く~」
やめろお前ら。隣からイライラオーラが増幅するだろ。
さわやかイケメン委員長様、本日はお気に深夜アニメの放送日だ。録画もしてリアタイでも鑑賞し録画を円盤に落とし、鑑賞マラソンを最低3時間やり通し、ネットで意見をぶつけ合う皆が周知の重度オタク君である。
‥‥‥‥誰も彼の邪魔することは許されない
「副委員長もご機嫌斜め~」
そっちもかよ!
「今日ほら、アレの発売日とかじゃないの?」
「あ~アレね。前に七瀬ちゃんが、肌色多めの本を大量買いする現場にあっちゃってさ~。訳知り顔の店員のお姉さんとニヨニヨしてて、‥‥‥‥ちょっと怖かった」
‥‥‥‥腐ってやがる。
ちょっとショックだ。
副委員長さまは、これまた日本人形のようなストレートのロングヘアの垂れ目のお嬢様風情。なのに。‥‥‥‥そうか‥‥‥‥腐ってたのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。