この命、尽きるまで 綟視点




 幸せは永遠じゃない。


 そのことをよく、思い知らされた。


 ボーンと低く鈍い鐘がなる。白と黒の喪服に包まれ、私は俯き、目を瞑る。まだ五歳と三歳の弟と妹は、何が起こっているのかわからないという表情を浮かべている。


 だが静かにしなければいけないことは悟っているようで、黙って前を向いていた。もう一人の十四歳の弟は、私と同じように両手を合わせていた。


 両親が、死んだ。


 一週間ほど前に突然飛び込んだ訃報に、処理が追いつかなかったことを覚えている。その時洗っていたお皿は、落として割れてしまった。


 父は武に優れた人だった。休日にはよく、私と弟に稽古をつけてくれた。剣道、柔道、合気道など、様々な戦法を教えてくれた。厳しい人だったが、教えるのはとても上手だった。


 平日はほとんど帝都の軍部で過ごしていたので、休日に会うのが私の楽しみだった。


 母はそんな父に代わって家を守り続けた素晴らしい人だった。一日三度の食事はもちろんのこと、家事も全て一人で行なっていた。


 手伝おうかと言い出ても、いつも「もう終わったから大丈夫よ」と言ってくれたのを覚えている。


 頭も良い人だったので、勉学に関しては困っても教えてくれた。母もまた、教えるのが上手だった。


 そんな二人はある日、休暇をとって旅行に行くことになった。


 神奈月かんなづきなので紅葉を見に行くためだ。最初は四人も子供がいるからと母は遠慮をしていたが、私はもう十七歳だったので平気だろうと父が言ったため、母も了承して車で早朝に出掛けて行った。


 だが、その後二人が帰ってくることはなかった。死因は対向車による追突で即死。不幸な交通事故で、大切な人の命は一瞬にして奪われた。対向車の運転手も即死だったそうだ。


「……さん、姉さん」

「あっ……」


 いつの間にか葬儀は終わり、気づくと部屋に残されたのは私たち子供だけとなっていた。


 みんな、心配そうな表情で私を見ていた。私は安心させるために偽りの笑顔で三人に言う。


「ごめんね、みんな。さぁ、家に帰ろうか」

「姉さん」

「夕飯は……そうねぇ、寒いしお鍋かな」

「姉さん」

「買うのは人参と椎茸と、それから……」

「姉さんっ!」


 そこで私は我に帰る。


 スカートが小さく引っ張られるのがわかった。下を見ると紘杜ひろと絺雪ちせが私を見ていた。


「紘杜、絺雪……!」


 私は屈み、二人を見る。


「ねぇちゃんはうそつきだ!」

「えっ……」


「ぼくにはわかるもん! 今の姉ちゃんはわらってるけど、ほんとうはなきたいんだろ? かあちゃんやとうちゃんがしんじゃって、かなしくないわけないもん! うそつき! ねえちゃんはうそつきだ!」

「紘杜……」


 やはり家族だからなのだろうか。私の気持ちをよくわかっている。だがここで私が泣いたら、みんな泣いてしまう。まるで両親の死が悲しいものだと思ってしまう。それは嫌だった。


「ねぇね」

「ん? どうしたの絺雪」


 すると絺雪は小さな手を私の頭に乗せ、よしよしと言った。


「ねぇねはがんばりやさんです。でも、がんばりすぎちゃダメです」

「……っ!」


 こんなにも二人は小さいのに、私のことを慰めようとしている。そのことが私にはよく伝わった。


「姉さん」

紡葉つむは……」


 私はゆっくりと立ち上がり、紡葉を見た。


「姉さんは一人じゃない。俺たちがいる。それに姉さんだって一人の人間だ。真菰綟って言う名前の一人の高校生だ。だから泣いたっていいんだよ」

「〜〜っ!」


 その後は四人みんなで泣いたのを覚えている。そして私はその時に心に決めたのだ。この子たちは何をしてでも、何が起こっても私が守るとーー。




 次の日から私たちはそれぞれの行く場所へ行く。紘杜と絺雪は幼稚園へ。紡葉は近くの中学校へ。そして私はこの国でも有名な名門校、天宮高等学校へだ。


 私たちの朝は忙しくなった。


 まず始めに朝食と弁当作り。子供とは言え、四人分作るのは大変だった。


 ご飯を炊き、おかずを作り、弁当箱に詰める。ただそれだけのことなのだが、味や量、彩りや栄養に気を使わなければならない。それがものすごく難しいのだ。


 次に着替え。絺雪はとても大人しい子なので楽なのだが、問題は紘杜の方だった。


 紘杜は自分で着ることはできるのだが、残念ながらボタンの位置が違ったり、前後ろが反対だったりするので、結局は全てやり直さなければならなかった。


 そうしてやっとのことで支度を終えると、私は三人に弁当を渡し、紡葉に紘杜と絺雪の幼稚園行きとお迎えを頼み、鍵をかけて家を出たのでした。




 通称天宮こと天宮高等学校が私の通う高校の名だ。天宮は国有数の名門校で、ほぼ全ての生徒がファーストの魔力値を持つ、超エリート校だ。


 そんな天宮には実力制度と言う制度がある。実力制度というのは、天宮の上位十名の生徒の学費を全額免除するというものである。つまり貧しい者でも頭が良ければ実質無料で授業を受けることができるのだ。


 私は今のところその実力制度の付与下に入っているので、次の試験までは全額無料だ。だが次の試験で十位未満となればもちろん実力制度は適用されず、多額の学費を払わなければならない。


 父と母が生きていた頃はそこまで気にしていなかったが、今となってはかなり重要となった。


 二人が残してくれたのは約百万円だ。せっかく残してくれたお金だが、残念ながら大体一月にかかる生活費は三十万円。つまり頑張っても四ヶ月しか生きることができない計算になる。


 仮に私がこれから先ずっと十位以内を保持キープできたとしても、未来は暗い。


(これから先、どうしよう……)


 そう思い悩んでいた時だった。


「……あっ!」


 正面から歩いてきた人とぶつかってしまった。転びそうになるも、転倒は回避することができた。私は謝るため後ろを振り向いた。


「ごめんなさ……っ!」


 そして気づく。私がぶつかってしまった人の周りには、皆自ら避けて歩いていたことに。


 独特な雰囲気を醸し出し、生徒たち(主に女子生徒)が頬を染めて見ていたのはーー五大名家である笹潟家次期当主様の笹潟架瑚様だった。


 私は思わず息を呑み、丁寧な口調に直して再度謝罪を述べた。


「大変不躾な行動を取り、尚且つその御身にふれてしまったこと、誠に申し訳ございませんでした。どうかお許しを……!」

「面をあげよ」


 そう笹潟様は私に言ってくださった。私はゆっくりと顔をあげる。そして笹潟様が視界にはっきりと映り込んだ。


 今まで見たことのないくらいに、笹潟様は美しかった。


「そんなに畏まらなくていい」

「ですが……」

「こちらも悪かった。一応聞いておくが、名は?」

「真菰綟と申します」

「真菰……先週亡くなったつづり少佐の娘であってるか?」

「! ……はい、間違いありません」


 父は真菰綴で、母は真菰季紲きせつという名だった。


 二人とも名に糸編の漢字があったことから、娘息子の名前には糸編の漢字が入っていると昔教えてくれたことを覚えている。


「そうか。色々大変だと思うが、一人で抱え込まないよう、気をつけろよ」

「そのお言葉、篤と心に刻みます」


 これが私と笹潟様の出会いだった。




「姉さん。俺、中学卒業したら働くよ」


 そう紡葉が言ったのは、両親が亡くなってから少し経ってからのことだった。


 紡葉が紘杜と絺雪を寝かせた後に私にそう言った。外はもう真っ暗で夜だった。


 私は紡葉の言っている意味がわからず、もう一度聞き返した。だが返ってきたのは同じ言葉だった。紘杜と絺雪はもう寝ているので、私たちは静かに話した。


「どういうこと?」

「そのままの意味だよ。中学を卒業したら俺は働く。ただそれだけのことだよ」


 だが私は知っている。前に紡葉が将来は父のように軍部に所属したいと自慢げに言っていたことを。


 なのに何故急にそんなことを言い出したのだろうか。


「ねぇ紡葉、何があったの?学力的に高校を断念したわけではないんでしょう? 軍部に所属したいと言ったのは嘘だったの?」

「……嘘ではないよ」

「なら、どうして……」

「姉さんはその答えを知っているはずだよ」

「えっ?」

「お金、足りないんでしょ? このままじゃ生活できなくなるのは近いんでしょ?」

「っ! どうしてそれを……」


 そのことはまだ誰にも話していなかったと言うのに、紡葉は「そりゃわかるよ、家族だもん」と言った。


「とにかく、俺は中卒で働くから」

「待って紡葉。考え直して。今の時代、中卒で雇ってくれる企業なんてないわ。それに紡葉はまだ十四歳なのよ? そんなに気負わなくても……」

「じゃあどうするんだよっ!」

「っ!」


 生きていくにはお金がいる。でも今の私たちには稼ぐ方法がない。このままだと死ぬ。ではどうすればいいのか。


 私は迷いに迷った末に、ある結末を見出した。


「……私が天宮を中退して働くよ」

「何、言ってんだよ」

「紡葉が中卒して働くっていうなら、私はすぐにでも天宮を中退して働くから」

「そんなの、いいわけないだろ!」

「紡葉の方がよくない!」

「三つしか年は変わらないだろ。もう俺のこと子供扱いするなよ!」

「私よりも年下なんだからそう思うに決まってるでしょ!」


 つい、私たちは互いを思うが故に強い口調となり口論に発展した。どちらも悪くなどないのに。どちらが良い、悪いなどはないというのにだ。


 そんな私たちを止めたのは、意外な人物だった。


「ねぇね、にぃに……」

「「!」」


 それが絺雪だった。


「けんか、してるの?」

「……ううん、してないよ。ね、紡葉?」

「あ、ああ」


 私は紡葉に合意を求めた。とにかく今は絺雪を安心させたかった。紡葉もその意を感じ取ってくれたらしく、同意してくれた。


 だが絺雪は泣き出してしまった。


「やだよ、けんか、やだよ……」

「してないよ絺雪。してないから……」

「ちせはやなの、ねぇねとにいに、おこるのやなの。だいきらいなの……! ふえっ、ううっ、あぅあ……!」


 絺雪に嘘をつくのも嫌だったし、絺雪が泣くのも私は見たくなかった。


 紡葉は絺雪に近づき「ごめんな、絺雪。仲直りするから、もう泣くな」と言って絺雪を抱き抱えると、優しく上下に揺すり、絺雪の背中をさすった。


「ふぇっ、ぐすっ……」

「よしよし、絺雪はいい子だね」


 数分もすると、泣きじゃくっていた絺雪は落ち着き、眠りについた。紡葉は絺雪を布団へと戻すと、私の方へと再びやって来た。


 だが私たちは一言も喋らなかった。意地を張っていたわけはない。ただ、何を話していいのかがわからなくなったのだ。


 話は一歩も進まずに、私たちはしばらくすると布団へと行き眠りについた。次の日から私たちの会話はめっきりと減った。




「真菰綟と言う人はいますか?」


 ある人物からそう、私が呼び出しを受けたのはあの夜から一週間ほどだった日のことだった。


 私は急いで廊下に出ると、そこには制服の襟元にFのバッチがある見知らぬ男子生徒がいた。私は思わずそれに目を見開いた。


 この天宮でFのバッチをつけているのは、天宮の中ではごく僅かな人しかいないからだ。Fのバッチは、天宮の中でも飛び抜けて成績の良い者しか入ることのできない『特別クラス』の生徒を表している。


 だがそれは口だけで、本当は五大名家の一族しか入れない教室クラスとも噂では言われている。つまりこの人はーー。


「五大名家笹潟家次期当主である笹潟架瑚の従弟いとこにして従者、美琴夕夜です。あなたが真菰綟ですか?」

「は、はい」

「そうですか。では、ついてきてください」


 何故、と聞きたかったが、それは時が解決してくれると判断し、私はその言葉を飲み込んだ。


 美琴夕夜。名前だけ聞いたことのある生徒だった。知っているのは特別教室の生徒で私と同じ十七歳、そしてよく笹潟様と一緒にいるということだけだった。


 笹潟様とは従兄弟なのに従者だなんて、不思議なものだと私は感じた。


 これ以外にも他の生徒は情報を持っているのだろうが、残念ながら私はそういうことに疎く、人間関係を築くのが苦手だった。また、その手の情報は嘘が入りやすいので、聞いてもいいこと以外信じないことにしていた。


「中にお入りください」

「っはい」


 美琴様について考え事をしていると、いつの間にか目的地に着いたようだ。私は少し驚いたため、返事が遅くなってしまった。そして再び驚く。


 一緒に来た場所は特別クラスだったからだ。


 私はドアを軽く三回叩き、「失礼します」と言って恐る恐る教室のドアを開けて入った。


 中にはこの前お会いした笹潟様以外に、五大名家である青雲家次期当主様である青雲隼人はやと様と、赤羽家次期当主様である赤羽あきら様がいた。


「来たか。まあ適当に座っていいぞ」


 美琴様を使いに出したのは案の定笹潟様だった。青雲様と赤羽様は物珍しそうに私と笹潟様を行ったり来たりして見ていた。


 私は近くにあった椅子に座り、笹潟様を見た。


「じゃ、理由省いて簡単に言う。……俺の従者にならないか?」

(現実、よね……?)


 笹潟様の従者。そんな大役に私を指名した。名家でもなければ、今は両親もいない、天宮に通っている生徒というだけの私をだ。


 この話には裏があるんじゃないだろうかと、私は疑ってしまう。


「なんでですか?」

「ん?」

「なんで、私なんですか?」


 その問いに笹潟様はすぐに答えた。


「決まっている。あんたが異能を持つ一般人だからだよ、真菰綟」

「……異能?」


 異能。それは特別な者にしかない、特別な力のことだ。


 数十年前に異国から魔法が伝わってきてから失われた力でもある。一人につき一つの異能を持ち、発現してから死ぬまで使える、そんな特別な力。


(そんな力が私にある? そんなはずはない)


 仮に私に異能があったとしても、何故それがわかるのだろうか


 するとーー


「っ!?」


 殺気に似た何かを感じ、私は咄嗟に椅子から離れ戦闘体制の構えをとった。


 だが相手に攻撃心はなかったらしい。


「わっ、ごめんね驚かせちゃって。にしてもすごいねぇ君。よく反応できたね、名前は?」


 見たことのない人だった。色素の薄い髪はその人の両目を覆っていた。白衣のようなものを着ているので、最初は養護の先生かと思ったが、天宮の養護の先生は別の人だと知っている。


 では、この人は誰なのだろうか。


「……鈴センセ、驚かさないであげてよ」

「いやぁ、驚かすつもりはなかったんだけどね。それで、その子は誰なの? 架瑚の知り合いで間違いはなさそうだけど」

「まぁね。真菰綟って言うんだよ」


 どうやらこの人は鈴先生と言うらしい。だが聞いたことがない。


「でさ、鈴センセ。この子、天宮の一般人なんだけど、この教室に入れてるじゃん? だから異能があるってことで間違いないよね?」

「えっ、一般人だったの!?」


 どういうことだろうか。


 私の頭の中は今、疑問符ばかりになっている。するとそのことを察してくれたのか、美琴様が後ろから耳打ちしてくださった。


「この教室に入れるのは異能を持つ者だけなのです。異能を持つ者は基本的に五大名家の家系の者しかいないのですが、あなたは稀な存在だったようですね」

「な、なるほど……」


 正直、説明を聞いてもよくわからないが、私は稀(かもしれない)存在らしい。そして異能があるらしい。だが言われてもあまりピンとこない。


「そーれで? 架瑚、鈴は何すりゃいいのさ」

「そいつの異能がなんなのか教えろ」

「うわぁ、鈴の方が年上なのにその言い方ないわぁ。本当にないわぁ。まいっか。あ、ちょっと手、借りるよ」


 すると鈴先生は私の手を掴んだ。


「……へえ、なるほどね。これはすごいや」

「な、何がすごいんですか?」

「早く教えろ」


 鈴先生は急かされ教えた。


「えっとねえ、まず君の異能はあらゆる生命を自由自在に操ることのできる異能だね」

「「「 ! 」」」


 その鈴先生の言葉に、その場にいた私を含む全員が息を呑んだ。


「自由に進退や大きさ、長さなどを操ることができるみたい。魔法でいうと促成魔法グレイアプルーアが一番の要素だね。練習すれば、植物以外にも適用できると思うよ」


 つまり人間の命も容易く奪えるということだ。


「なるほどねぇ。益々あんたがほしくなったよ」

「っ! ……何をするおつもりですか」


 本当にそんな異能が私にあったとしても、私はそれを使いたくない。


「ああ、誤解させたな。益々俺の従者にしたくなった。その力があれば、俺を守ることができるからな。まぁそもそも俺は夕夜がいればそれでいいんだが、『白椿誘拐事件』が起きてから、両親からの新しい従者の選抜の圧が重いんだ」


 白椿誘拐事件。それは七年前に起こった五大名家の一つ、白椿家の三人の子供である長男の誠実せいじ様、長女の遥香はるか様、次女の依世いよ様が誘拐された大事件のことだ。


 その事件で誠実様と遥香様は死亡、依世様は重傷を負った。誰もが驚き、悲しみ、そして従者の大切さを学んだのだった。


「……ですが、私には得がありません」

「そうか? ……あぁ、交換条件を提示していなかったな。聞いて驚け、かなりの好待遇だ。まず承諾した暁には十億円をやる。そして一日働けば十万円、一ヶ月もすれば三百万円となる高額な給料を払う。それに加えて衣食住は永久絶対保証、天宮の学費も俺が払おう。弟、妹もいるらしいな。安心しろ、こちらで面倒を見てやろう。それと高校生活ぐらい満喫したいだろうから、働くのは卒業してからだ。……どうだ?」


 学費免除、それどころか一生かけても使いきれないだろうお金、働くのも高校を卒業してから、衣食住の絶対保証……。


 本音を言おう。驚いた。


 だがこんなにも美味しくていいのだろうか。


「もう一度尋ねます。そこまでして私にこだわるのは何故ですか」

「異能持ち、天宮に入れるほどの頭の良さ、先程の身のこなし、ファーストの魔力値。これ以上に条件が満たしている奴なんぞ、他にいない。俺は価値のある者、実力のある者には正当な評価とそれに見合う物を与えるんだ。それにあんたは俺を裏切らない。こんなに心が綺麗で正義感のある奴はあんまりいない」


 私の未来は暗いものだとばかり思ってた。けれどこのお方はもしかしたら、私を変えてくれるかもしれない。


 確証はない。これはただの勘でしかない。


 だけどーー。


「あなた様は私を今よりも素敵な未来に導いてくれますか?」

「当然だ。約束しようじゃないか」


 跪き、こうべを垂れ、そして誓った。


「誠心誠意、お仕えいたします」


 これを機に、私の運命は大きく動いた。


「この命、尽きるまで」



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