突入

「扉が開いたぞ!突入!」

 

 足止めを買って出てくれた二人の部隊が戦っている音を聞きながら俺達はひたすらに待っていた。

 そして、ついにその時が訪れた。

 扉が開き、核シェルターの中があらわになる。

 仲間が続々と突入していく。

 俺が最後に入り、扉の近くで壁にもたれかかり倒れている者を見つけた。

 彼は見たことがある。

 諜報班、それも工作員の者だ。

 彼が扉を開けてくれたのだろう。

 

「……よくやった。」

 

 そっと肩に手を置く。

 そして、脈を確認する。

 ……死んでいる。

 まだ温かく、つい先程まで生きていたことが分かる。

 そして、彼が手に持っていた地図を確認する。

 

「最深部だ。最深部の司令室を目指せ!そこに目標が居る筈だ!」

 

 最深部が司令室と書かれている。

 そして、この核シェルターはかなりの規模だ。

 正直に言うと想像以上。

 司令室にいなければ、正直に言うと詰みかもしれない。

 ……そうだ。

 俺は核シェルターの扉を操作する端末を操作し、扉を閉める。

 そして、端末を破壊した。

 

「隊長!?」

「これで、敵は逃げられない。敵の増援も、味方の増援も来ないな。」

 

 隊員達は不安そうな顔をする。

 そもそもが生還率の低い作戦だ。

 今更帰還すること想定して、作戦の成功率を下げるわけには行かない。

 

「よし、部隊を二つに分ける。第1小隊は目標の捕縛。第2小隊はこの管理室に向かえ。空調関係を全て停止させろ。状況によっては破壊しろ。俺達の第一小隊が失敗した時の備えだ。隊長はお前だ。編成は任せる。」

「はっ!」


 最も信頼の置ける者を指揮官に任命する。

 彼ならば信用できる。

 第二小隊長は編成を決め始める。

 決め終わったのを確認し、号令を飛ばす。

 

「よし、行動を開始しろ!これが最後だ!気合を入れろ!」

「了解!」


 部隊は分かれて行動する。

 正直、士気も低く、弾薬も少ない。

 敵と遭遇したらそれを奪って使う他はない。

 が、士気についてはどうしようもない。

 第二小隊に全てがかかっていると言っても良い。

 

「隊長!敵です!待ち伏せされてます!」

「迂回する!極力弾は温存しろ!」

 

 地図を見ながら迂回しつつ司令室を目指す。

 全てが第二小隊にかかっていると言っても諦めるわけには行かない。

 自国の民に核を使った報いは受けてもらわねばならない。

 

「……ちっ!」

 

 この先は迂回するルートが無い。

 次の道で遭遇したら強行突破するしか無いな。

 

「待ち伏せです!」

「突破する!残弾気にせず撃て!」

 

 武器は敵のを奪えば良い。

 手榴弾を取り出す。

 安全ピンを外し、安全レバーを外す。

 そして、投げ返されないように少し時間を置いてから投げる。

 敵は投げ返そうと手榴弾をつかもうとするが、即座に爆発する。

 

「今だ!突っ込め!」


 敵の抵抗は激しい。

 だが、ここまで来て止まるわけには行かないのだ。

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