第31話アランへの命令
アランは騎士団長に呼ばれて、こちらへ駆け寄ってきました。
「フルーラ様がこのような場所にいらっしゃるとは。このような姿で失礼します」
アランは跪きますが、模擬戦の姿のままです。
「いえ、構いませんよ。わたくしがアランに会いに来たのです」
「自分に……ですか?」
「ええ、実はですね……」
アランにアルテイル様とのお話を説明します。
「た、確かに……母の方の祖父ファーガスから別れた一族の家系なのは聞いています。
ただ、血筋と言いましてもかなり遠いですし、ファーガスの家系図の分家にも
祖父の父の代までしか乗っておらず、今はファーガス家の分家でもありませんよ」
アルテイル様は本家も分家ともつながりはないとおっしゃっていましたが
現在ではかなり遠い血筋の様ですね。
「そうでありましても、アルテイル様は僅かにでもファーガスの血筋であれば
ファーガスが使った剣などの装備は使用できるそうです」
「そ、そうなんですね……」
「さらにアランを……わたしの直属の騎士にしたいと思います」
わたしがこう言いますとアランは
「じ、自分がですか!?」
と驚きましたが、そうでしょうね。
王女直属の騎士はある程度経験を積んだ騎士がなりますので、まだまだ若手のアランが
直属の騎士になるのはかなりの事なのです。
「はい、わたしの直属の騎士になって欲しい……いえ、なりなさいです。
これは王女としての命令なので、拒否はできません」
わたしは王女として命令をしますが、したくてしている訳ではありません。
アランの事ですから、こうでもしないと断ると思いますから。
「王女殿下にこのような事を言われたら……断れないですね」
「はい、そのための命令です」
「わかりました。騎士は王族の命令に絶対なのでお受けします」
「ありがとございます」
「さらにもう1つ命令をしますが、次の旅先はファーガス地方ですので
アランも同行するように
「わかりました」
こうして、アランは直属の騎士になる事になりファーガス地方へ同行する事になりました。
「用件は終わりましたので、アランは訓練戻って……戻りなさい」
「かしこまりました」
アランは一礼をすると、訓練に戻っていきましたが。
ただ、これを見ていましたアルニルが笑いを堪えています。
「そ、そんなん崗しかったですか?」
わたしはちょっと照れながらお聞きます。
「す、すみません、フローラ様。普段はお優しいフローラ様が王女の威厳を示したので、思わず笑いそうになりました」
アルニルはこう言いますが、わたしだってこの国の第1王女ですから威厳を示します。
「す、すみません、フローラ様。フローラ様のこの様なお姿を初めて見ましたのでつい……」
騎士団長のアルニルほどではありませんが、ニコニコしております。
「確かに、わたしは威厳がある所や命令をあまりしませんが、今後のためにですよ」
「そうですね、フローラ様もやはり王族であられる事がわかりました」
騎士団長はこのようにおっしゃり、跪きます。
「そ、そのような事をしなくても……」
「いえ、騎士団長としてフローラ様への無礼を謝罪します」
確かに、非礼になりますがわたしは気にしません。
「わたしは気にしませんし、アルニルも笑っていました問題ありません。
なので、このような事はおやめください」
「フローラ様がそのようにおっしゃるならば」
騎士団長は立ち上がりますが……確かに、確かに王女に対する無礼になりますね。
なので、大げさでなく立場上しかたありません。
「ご用件は以上でありますか?」
立ち上がった騎士団長が聞いて行きましたが用件は以上です。
「はい、本日の要件は以上です」
「わかりました。では、戻りましょう」
「そうですね」
騎士団長と城内へ戻りますが、騎士団長は訓練がまだ続いていますので
「訓練の途中なので、ここで失礼いたします」
と、途中で別れました。
わたしはアルニルと2人になりますが
「騎士団長がなぜ騎士団長なのかわかりました……」
とつぶやきますがアルニルも
「食えないお方ですからね」
と話しながら城内へ向かう廊下を歩くのでした。
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