奴隷のための服を買いました
「服を売っているお店は結構沢山ありそうですけど、割と遠いんですね」
「まあ、俺が詳しくないっていうのもあるし、ギルドとか宿屋とかで聞く限り今から行く店は一番品ぞろえがこの街でいいらしい」
俺もそこをお勧めされてから他の店にはいっていないので他がどのような感じなのかは明確ではないが。
「すきなの買えよ。遠慮はしなくても大丈夫だし、必要なものをきちんと持っておいて欲しいからな」
ルナに似合う服か。昨日も少し考えていたけど、巫女服みたいなのがあれば絶対にそれが欲しい。もしルナが恥ずかしがっても普段使いでなくて遊びで使えばいいのだから。その程度の出費なら痛くも痒くもない。
「ここだな」
「大きいですね。確かにこれだけ大きければ品ぞろえもよさそうです」
店に入ると服や布がたくさん置いてある。布も置いてあるということはそれを切り売りしているということだろうが、これだけおいてあるということは結構需要があるのだろう。店内をしっかり見たのは何気に初めてかもしれない。これが一人と二人の違いなのかな。
「いらっしゃいませ。本日はどのような商品をご所望でしょうか」
「こいつに似合う服を肌着含めて何着か見繕ってくれ」
「かしこまりました。ではこちらへお越し下さい」
「ルナはどんな服がいいとかあるのか?」
「冒険者のお仕事をということでしたので動きやすいものがいいです」
「動きやすいのか。聞いていたと思うが動きやすいのはあるのか?」
店員もどうせ聞いているのだろう。この店員は若い女性だがどのような感じにしてくれるのか期待している。
「私がお客様のご期待に沿えるようにこの娘を冒険者という活動に支障もでず、でも可愛いという服をきちんと何着か提示しますとも」
店員は自信満々だ。その様子なら期待値を上げるほかにあるまい。
ルナを奥に連れて行き、俺は待つことになった。奥では採寸でもして試着でもしているのだろう。
「まずは一着目です」
「どうでしょうか、ご主人様」
普通の服だ。悪くはないだろう。
「とりあえず他も見せてくれ」
「承知しました」
この店員はニッコニコである。はちきれんばかりの笑顔をしている。
「では次はこちらです。先ほどの反応そして奴隷を購入することからこういうのもいかがかと思いまして選定しました」
「あまり見ないでください。これにするなら変態ってずっと呼びます……」
ルナはとても恥ずかしそうだが、それも当たり前だ。露出がとても多い衣装であるのだ。胸を隠すわずなものとパンツもすぐに見えてしまうミニスカだ。
「いいけど、ダメだ。戦闘に向かなさすぎる」
「いいと思ったんですが、では次ですかね」
また店員とルナは奥に消えた。あの店員絶対に楽しんでいるような気がする。あ、メイド服とかあるのか聞いてみるか。巫女装束もいいけど、メイド服も至高の逸品だろう。
「お待たせしました。家事はあまりされないかもしれませんがオーソドックスなメイド服です」
「普通に家のことをするのなら問題ないですが、戦闘で使えるかは分かりません」
俺が聞くまでもなくメイド服が出てきた。ルナ的には可もなく不可もなくというところだろうが、かなりいい。でも俺が欲しいのは巫女装束だからなあ。
「なんというか、もっとこう、神聖な感じで神秘的な装束とかないの?」
「神聖で神秘的なものですか……一着心当たりがあります。確かにそれもすごく似合うかもしれませんねえ」
ニチャァという擬音が出てきそうな笑みを浮かべ奥へ消えていった。さっきの3着よりも時間がかかってからルナたちは現れた。
「おお、これは」
「以前、東から入荷した品でして、それを私どものほうで新たに作ったのがこちらの服になります。なんでもその入荷元の国の神に使える女性が着るような衣装というふうに聞いていますのでお客様のご要望にもピッタリでしょう。それによくお似合いです」
本当によく似合っている。まさかこの世界にも巫女装束があるなんて思いもしなかった。
「どうだその衣装は?」
「悪くないと思います」
決まりだ。
「これを数着頼む。それからさっきのメイド服も2着ほどもらおう。まとめ買いするんだ。勉強はしてくれよ」
「もちろんですとも。ただ、メイド服は在庫がありますが、先ほどの衣装は何着も在庫がありませんので今から作りことになりますので相応のお値段と時間を頂くことになります」
「構わない。あと3着ほどつくるとして何日で出来る?」
「1週間です。それから今着ているものはそのまま着て行かれますか?」
「頼む。金はその分とメイド服、それから肌着のは今払おう。残りの3着分については今日は前金を払う。残りは受け取るときで問題ないか?」
流石に今、全額払うのは俺も怖い。しかし、それでは店側としても問題があるだろうということで前金を置いていく。
「大丈夫です。前金を提案してくださるだけでもかなり良心的で感謝申し上げます」
店員は頭を下げてきた。
「構わん。その代わりしっかりと作ってくれれば問題ない。肌着もいつの間にか選んでいくれていたみたいだし感謝する。では1週間後にまた来るからその時までに頼む」
「本日はありがとうございました」
店を出ようとすると店員はルナにそっと近づいて何かをささやいたようだ。何を言っているかは分からなかったけど、ルナの表情を見るにそう悪いことを言われたわけでもないのだろう。後で聞いてみるか。
「私のためにあのような金額をだしていただきありがとうございます」
「気にするな。それよりもその服はどうだ?」
ルナが着た巫女装束は理想的過ぎてたまらん。
「とてもいいものだと思います。動きやすいですし。それよりもメイド服も買っていたようですが、それはどうしてですか?」
「どこかのタイミングで着てもらおうかなって」
間違いなく俺の下心である。
「つまり変態なご主人様ということですね。呪われたいんですか?」
「その服を着てそんなこと言わないで。本当に呪われそうだ」
洒落にならん。でもルナの尻尾もすごくよく動いているしきっと喜んでくれているのだろう。
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