第5話 黄龍の秘密(2)
◇◇◇◇◇
ウイオは、首飾りの石を握って心の中で黄龍を呼んだ。ウイオも感覚で呼び出す方法は分かったみたいだ。
ウイオ:(黄龍、来い!)
握った石から龍の様な光が飛び出して、ウイオの全身をその光が覆っていく。
そして、その光が消えると、見違える様な衣服が装填されたウイオの姿が現れた。
真っ白で神秘的な輝きの滑らかな生地の上下に金色の模様が施された衣服で身を包み、腰には同じ様な装いの白い鞘に金色の模様が施された剣を携えていた。
さらに、同様の模様の額から鼻までが覆われた仮面も装着されている。
外見からはウイオとは判別がつかない。
ジェフ:「ルカ。それが真の黄龍の姿です。
アラン様の場合は、全身が黒でしたが、あなたは白の様ですね。」
ウイオは、さらに全身に力が漲って不思議な感覚を感じた。
ウイオ:「これが真の黄龍の力。」
ジェフ:「そうです。それが黄龍です。
そして解除するときは、石を握って黄龍を解放してください。」
ウイオ:(黄龍、戻れ!)
ウイオの体から光る龍が石に戻り、元の姿に戻った。
ジェフ:「ルカ。分かりましたか?
あなたが黄龍の後継者です。
そして、あなたが黄龍会の次期会長です。」
ウイオ:「僕が黄龍会の会長?」
ジェフ:「はい。そうですよ。
ただ、今すぐというわけにはいきません。
あなたは、エルグラン卿と正式な契約を結んでいますよね?
この契約は、我々でも強引に解除することは出来ません。
それまでの間は、天啓のこと、その首飾りのことは伏せておいてください。
その力を悪用される恐れがありますので。
ただ、黄龍の力に慣れておくのも良いでしょう。その場合には、姿を代えてルカと名乗ってください。ルカという名は、黄龍会の中でもごく限られたメンバーしか知りませんので大丈夫です。」
ウイオ:「はい。分かりました。
いろいろ教えていただいてありがとうございます。」
ジェフ:「では、あなたの16歳の誕生日が来たら、もう一度迎えに来ますので、それまでは苦労をかけますが今の生活を続けてください。
ただ、何か困ったことがあれば、遠慮なく石を握って私に念話を送ってください。
我々の方で全て対処いたしますので。」
ウイオ:「ありがとうございます。
でも、大丈夫です。大旦那様様は優しいお方ですし、お嬢様も……根は優しいお方です。
それに執事長やその他の従者の皆さんには、本当にすごく良くしてもらってます。」
ジェフ:「そうですか。それは良かった。
では、怪しまれるといけないので、そろそろ行きましょうか?
くれぐれも、ここでの話はしない様に。」
ジェフとウイオが揃って部屋を出ると、そこにはサバンがそわそわして待っていた。
サバン:「あ!お疲れ様でございました。
何か確認は取れましたでしょうか?」
ジェフ:「ええ、確認は終わりました。
この少年は人違いだったようです。」
サバン:「そうですよね?孤児のウイオが黄龍会に関わりがあるわけがありませんから。」
サバンのその言葉に、一瞬だがジェフの目が光った。
ジェフ:「エルグラン卿。孤児ということで下に見るのはどうも好きではありませんな。」
サバン:「あ!いえ。もちろん、そういう意味では……。」
ジェフ:「ウイオと話をしましたが、大変優秀な子と感じました。」
サバン:「ええ、それはもう。」
ジェフ:「それに貴殿のことも少し話に出てきましてな。」
サバン:「な、なんと!?申しましたか…?」
サバンの額には、大量の脂汗が……。
ジェフ:「そんなに慌てなくても大丈夫ですよ。良いお話が聞けました。」
サバン:「そ、そうですか。良かった〜。」
ジェフ:「それでですな。もし貴殿がよろしければ、末席ですが黄龍会に加わっていただこうと思いますが、いかがですかな?」
サバン:「ほ、本当ですか!?
もちろん、是非にお願いしたいです!」
ジェフ:「では、決まりですな。
詳細は追って使いの者を遣しますので。
よろしくお願いしますね。」
サバン:「あ、ありがとうございます!
まさか、エルグラン家が黄龍会に加入させていただけるなんて。」
サバンは天にも昇る気持ちになっている。
ジェフ:「では、私はこれで失礼しますね。」
サバン:「はい!御用の際にはなんなりとお申し付けください。
では、お気をつけてお帰りください。」
見送るサバンの顔はだらしなく、にやけた表情になっている。
それも仕方のないこと。
末席であれ、黄龍会に加入するということは、それだけで称号になり、国での影響力が一段上がるのだ。
そして、ジェフが帰ったあと、サバンは屋敷の全員を呼びつけて、この栄誉ある状況を鼻高々に報告したのであった。
ダリア:「ところでウイオ。
スペンサー様はあんたに何の用だったのよ?」
ウイオ:「人違いだそうです。」
ダリア:「ふっ、でしょうね?
あんたが黄龍会と話できるだけでもあり得ないからね。
あんたは私の世話だけしてればいいのよ。」
ウイオ:「はい。お嬢様。」
まさか、この時点ではウイオが黄龍会の次期会長になるとは思いもよらないダリアだった。
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