第3話 黄龍会

 ◇◇◇◇◇


 誕生日会から5日後。


 伯爵邸に突然の来客があった。

 屋敷の前には、馬車の行列が並んでいる。

 かなりの大物が来られた様だ。


 ウイオは、庭でお嬢様のお世話をしている。

 ダリアも今日の来客が気になる様だ。


 馬車から降りた白髪の男性が、大勢の従者を引き連れて屋敷に向かって歩いてきた。


 そして、出迎えた大旦那様と執事長が深々と

頭を下げて出迎えている。


 大旦那様があんなに深々と頭を下げる?

 かなり丁重に出迎えているけど……貴族でも相当上の方なのかな?


ダリア:「ウイオ。気になる?」


ウイオ:「あ。いえ。」


ダリア:「いいわ。今日は機嫌がいいからね。

 今日はね。この屋敷に超大物の方がお父様に会いにきて下さったの。

 この方は滅多にお目にかかれないわ。

 それが、わざわざ自ら出向いてお父様に会いにきたのよ。この意味が分かる?

 そう。エルグラン家が認められたのよ。

 このお方に認められた家は、漏れなく大出世しているわ。そして、逆に見限られた家は漏れなく破滅している。

 それほど、大きな権力を持った方なのよ。国を動かせるほどのね。」


ウイオ:「そうなんですね。それはすごい。

 おめでとうございます。」


ダリア:「これからエルグラン家の格はますます上がるわ。もしかすれば、陞爵するかも知れないわね。ふふふ。

 でも、安心しなさい。ウイオは一生私が面倒見てあげるわ。感謝しなさい。」


ウイオ:「はい。ありがとうございます。」


 どんなにひどい仕打ちを受けても、ウイオの忠誠心は変わらない。



 ◇◇◇◇◇



 伯爵邸応接室にて。


 白髪の男性、ジェフ・スペンサーがサバンの向かい側に座っている。

 ジェフの後ろには多くの従者が立っている。


サバン:「スペンサー様。ようこそ、我がエルグラン家へおいでくださいました。

 今日はどの様なご用件でしょうか?」


 サバンは、満面の笑みで伺っている。


ジェフ:「貴殿の活躍は耳にしていますよ。

 それで貴殿の人柄を知るため、少し話をしてみたいと思いましてな。」


サバン:「あ、ありがとうございます!

 スペンサー様からその様なお言葉をいただき光栄に存じます。

 いえ、大したことはございませんが、国のためにと思い、日々精進している次第です。」


ジェフ:「うむ。謙虚な姿勢もよろしい。

 これからも精進する様にお願いします。」


サバン:「もちろんでございます。

 あの〜。今日、お越しいただいたと言うのは、もしかしてですが、私も黄龍会のメンバーの末席に加えて頂けるということでしょうか?」


 サバンの一番聞きたかったことはこれだ。


ジェフ:「そうですな。今はまだ早いが、今後その様になるかも知れませんな。」


サバン:「そ、そうですか!これは大変なことだ!今まで精進してきた甲斐があります!」


サバン:(これはすごいことになったぞ!

 私も黄龍会に入れるチャンスが!)


 サバンは、嬉しさのあまり、表情が顔に出てしまっている。


ジェフ:「ところで、アルグラン卿。

 こちらにウイオと言う少年がいますな。ここに呼んでもらえませんか?」

 

サバン:「え?はい。我が娘の従僕でウイオと言う少年はいますが、彼が何かしましたか?」


ジェフ:「いや、我々は人探しをしていましてな。一度、その少年を確認したいだけです。」


サバン:「というと、ウイオは黄龍会と関わりがあると?」


ジェフ:「いえいえ、少しでも可能性があるところには、色々出向いているのです。

 そのうちの一つに過ぎません。

 呼んでいただけますかな?」


サバン:「そうでしたか。もちろんです。

 セバス!ウイオを呼んで来なさい。」


セバス:「承知しました。」


 執事長のセバスは、応接室を出てウイオを呼びに庭に向かった。


セバス:「お嬢様。少しの間、ウイオをお借りします。ウイオ。ついて来なさい。」


ダリア:「え?何かあったの?」


セバス:「いえ。特に問題はありません。

 黄龍会のスペンサー様がお呼びなので。」


 そう言って、執事長はウイオを連れて屋敷の中に入って行った。


ダリア:(私じゃなく、ウイオが…なぜ?)


 執事長に続いてウイオが応接室に入る。


セバス:「大旦那様。ウイオを連れて参りました。」


 ジェフは、ウイオの顔を一目見て確信した。


ジェフ:(おー!生きておられたか!)


 ジェフは、表情には出さないが、珍しく感情が昂っていた。


サバン:「ウイオ。挨拶しなさい。」


ウイオ:「はい。ウイオです。ようこそ、おいでくださいました。」


 ウイオは、ジェフに向かって深々と頭を下げた。


ジェフ:「アルグラン卿。申し訳ないが、ウイオと二人きりで少し話がしたい。

 少し席を外してもらえませんか?」


サバン:「ええ、もちろん構いません。

 ウイオ。このお方は黄龍会副会長のスペンサー様だ。ものすごく偉い方だからね。くれぐれも粗相のなき様に。分かったね。」


ウイオ:「はい。大旦那様。」


 サバンとセバス、そしてジェフの従者たちも応接室から出ていき、扉が閉まった。

 そして、部屋にはジェフとウイオの二人きりになった。


ウイオ:(なぜ、二人きりなんだ〜!?)


 この状況にウイオの思考はついていかない。


 そして、ジェフはしばらくの間黙ったまま、ウイオの顔を眺めていた。


ウイオ:(なぜ、沈黙なんだ〜!?)


 ウイオは、泣きそうであった。

 が、この後、ジェフの口からある真実が語られるのであった。


 ◇◇◇◇◇

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