第2話 楽しくランチ

 さて、お昼だ。


 私は孤独を好むので友達などいない。結果、自席にて独りでお弁当を食べる。


「小夜さん、演劇準備室で食べましょうよ」


 テラさんが声をかけてくる。


「だから、バニーガール部入ると言ってないし」

「孤独が好きなの?」

「あぁ」


 私は朝、自作したお弁当箱を開けて食べ始める事にした。お弁当の中身はふりかけご飯にミートボールが二個と茹で野菜である。


 箸を取り出すと。テラさんが泣きそうになる。


「小夜は皆で食べるべきなの!」


 おせっかいな妖精だ。ここで泣かれると後味が悪い。私は箸を置き、一緒に演劇準備室に行く事にした。


 そして、演劇準備室ことバニーガール部の部室に着くと、丸眼鏡に黒髪ロングの女子生徒が居た。


 それは制服姿の麗奈さんであった。


 く、暗い……。


「結局、入部するのね」

「いえ、まだです……」


 何だ、この格差は!制服姿の麗奈さんはオーラ―は無く、暗い女子生徒であった。バニーガール姿を太陽に例えるなら今の麗奈さんはミトコンドリアだ。


「え……伝説には興味が無いかしら?」

「伝説?」

「どんな願いもかなえる、伝説のバニーガールスーツです」

「はい?『かなえる』?」

「そう、殿方の願いをかなえるのです」

「自分の願いは?」

「当然、かないません」


 イラネ!!!


 私が部室に唾を吐きそうになると。


「はい、そこまでよ。伝説のバニーガールスーツの話はお終い、これからお弁当を食べるわ」

「そうでした、私もご飯を食べるのでした」


 テラさんの言葉に麗奈さんはコンビニのおにぎりを取り出すと食べ始める。毎日、コンビニのおにぎりか……高くつくな。


「コスト高です、私が麗奈さんの分のお弁当を作ります」


 ああああ、言ってから後悔した。何で、こんな二重人格の女子にお弁当を作らなければならないのだ?


「あら、気が利くわね。なら、お願いしようかしら」


 げ、本気にしているし。


 テラさんはニタニタしている。やーな目つきだな、まるで罠にハマった猪を狩る猟師の様な目だ。


 すると、テラさんはバニーガールの妖精の姿になる。コンビニのおにぎりにガツガツと噛り付く。コイツの分のお弁当は要らないな。


「あー今、失礼な妄想をしたでしょう」

「べ、べ、別に体が小さいからおにぎり一個で十分などと思っただけよ」

「それが失礼な妄想なのよ。私は本来なら蜂蜜をスプーン一杯で大丈夫だけど。人間の食事がどんなモノか知りたくて食べているの」


 ???どう言う理屈だ???


「話しは簡単です、国産の純正の蜂蜜が高いのでコンビニおにぎりで済ましているのです」


 麗奈さんが説明するとテラさんは頷いて食事に戻る。ああああ、コイツにもお弁当を作れとの事か……。


「ところで、私は食べ終わったなら、バニーガール姿に成りたいのですがいいでしょうか?」


 何故、麗奈さんは、私に許可を求める。ここはバニーガール部なのだから好きにすればいい。


「ひいいいい、目が怖いです」


 しかし、本当に普段はダメ人間とかすな。


「私の目が怖いなら一度、竹下通りに行くといい。イヤ、センター街か、それとも歌舞伎町か……」


 うむ、東京の事は詳しくない。自分一人で納得をしていると。麗奈さんは食べ終わったらしく。


 部室の奥にあるカーテンのスペースに入る。


 すると……。


「赤いバニーガールはリーダーの証、トキメクあなたに一直線、麗奈様の降臨だ」


 そこに現れたのは赤いバニーガールスーツを着た麗奈さんであった。


 人格が変わっているし。


「教室に帰っていいですか?」


 私の言葉に麗奈さんは私を引き留めて、バニーガール姿でハグをしてくる。


 あーたわわな胸だ……。


 結局こうなるのだな。

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