第6話 冤罪

椅子を蹴られ、机を叩かれ、俺にだけ眩しすぎるライトを当てられ。

まるで容疑者扱いだな?いや、犯人扱いそのものだね。

テレビドラマの描写って、あれ嘘だ〜と思っていた時期が俺にもありました。あれ、ホントのことだぞ。昔話ではなく、今でもな。


「早く吐いたらどうだ?そうすればすぐに帰れるぞ?いつまでも黙り通せると思わないことだな。」


お馬鹿なんじゃないかな?吐いたら帰れなくなるんだよな?冤罪で。

ところで、何を吐けばいいのかまだ聞いてないんだけど?


「弁護士なら、来ないぞ。いくら待ってもな?サッサとスマホのパスワードを教えろよ?」


まず始めに吐くのはパスワードですか。そりゃぁ、パトカーの後部座席に押し込まれる時に無理矢理手に持っていたスマホ取り上げられたから連絡できないから、当たり前といえば当たり前だろうに。

ダミーの端末だけどね。

1台しか持ってないと思うなんて捜査員としてどうなんだろうか?失格だろうね。

時折インカム越しに何処かと連絡取ってる様子だから、今頃ロック解除出来なくて解析でもかけてるのかな。パスワードは英数大文字小文字全角半角混ぜた数十桁だから、スーパーコンピューター使っても数日掛かるだろうからな。平仮名カタカナも混ぜたし。しかも、解除しても空振りだからな。

強姦魔達のやり取りをスマホアプリで盗聴録音したと伝えてあるから、証拠隠滅か改竄する時間を稼ぎたいんだろうけどな。

アイツラの中に、警察幹部の身内でもいたんだろうな。

あれ?でも警察は取調べ前に弁護士請求したら拒否できない筈。

という事は、これは『正規の取調べ』や『任意の事情聴取』じゃ無いよな。

ここ、ホントに警察署内だよな?『敵対組織の拠点』じゃ無いよね?


この分だと陽菜も、ひどい扱い受けてるんだろうな。

怪我してたから、救急搬送されてればいいんだがな?尋問中だったら暴れるぞ!

こんな事になるなら、あの強姦魔達にトドメをさしておくんだったな。見張りの四人に『玉潰し』出来なかったのはつくづく悔やまれるぞ。少なくとも俺にナイフを向けてきた二人はその場でならトドメを差して始末コロしても罪に問われなかっただろうからな。まだ俺も甘いな。


薄暗い倉庫のような『取調室』に隔離されてから、体感で二時間は過ぎただろうか。

何度も何度も、同じ質問と言う名の『恫喝』を受ければ、やってもいない知りもしない事を答えたくなる人は、たくさんいるんだろうな。

『今回』は、直接手を出して来ないだけ『学習』したのかな?『前回』は、正規の取調室にも関わらずボコボコにされたからな。中坊相手に手を出して来て。

あ〜、腹減ったぞ。カツ丼食いてぇ。

水ぐらいは飲ませてもらいたいぞ。

トイレも行きたいしな。


やっと、痺れを切らしたのだろうか。襟首を締め上げて持ち上げながら腹を膝で何度も蹴り上げてきたので、


「苦しいので首は締めないでもらいたいね。腹蹴りもやめてくれよな?」


蹴り方が甘いぞ。そんなんじゃ拷問にならないぞ?


「っ、やっと喋ったと思えばナマイキ言うんじゃないぞ!証拠さえ残さなければ良いんだよ。たとえお前がこの場で死んだとしても、すぐに揉み消せるんだからな。お前なんか簡単に有罪に持っていけるんだからなっ?」


はい、今の発言、頂きました。身体検査甘すぎるんだよね。しっかり録音もしていて、パトカー乗せられたところからリアルタイムで音声配信してるんだぞ。そろそろ炎上していてもおかしくない頃だぞ。

ところで、何の罪で有罪なんだろうか?

有るとすれば、過剰防衛ぐらいか。殺人未遂かな?玉潰しぐらいでショック死するような気の弱い奴は強姦なんかしないほうがいいぞ。


佐木さん、早く来てくれないかな?

出来れば、陽菜がどうなってるかわからないから『合法的な方法で』ここを出たいんだけど。

今の配信、聞いてるよね!



※※※※※※※※※※



作者より


今回のお話は、『フィクション』です。

実在の団体や個人とは、全く関係ありません。

間違っても、『作者の実体験』ではありませんから!

断じて、無いって言ったら、無いんです!

当局に『恨み』なんて、無いんだからね?

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