第10話【お犬様、縄張りを広げる】

吾輩は犬である

名前は・・・言いたくない。


我は曲がりなりにも元魔王だぞ!


人間めっ!

あんなフザケタ名前を付けおって!!


などと、くだらない事を考えていると

教祖が声をかけてきた。


「あの・・犬神様?」


「うむ、大丈夫だ。続けろ。」


「はい、では。

この所の勧誘活動ですが

徐々に低下傾向にあります。」


「なるほど、で

原因の方は分かっているのか?」


「はい、元々犬神教は全国区の宗教ではありませぬし地域毎では人口にも上限があります。それに昨今のネコブームもありまして

「猫派なので」と断られるケースも多いようです。」


「なるほど、人間は散々犬による恩恵を

あれほど受けておきながら

働きもしない猫を崇め

我々犬族を蔑ろにするとは・・・

許せんっ!」


「ははっ、仰る通りかと。」


まったく、我が愛らしく優秀な同胞を差し置いて猫だと?

これだから人間は・・・。


しかし世論が猫に傾いているは事実。

我が教団の為にも

人間の猫勢力を削る必要があるな・・。


「我が教団の隣にもチ〇ールとか言う

猫のおやつなどの猫グッズを

作っている会社がありますしな。

これが中々の売れ行きらしく

猫の勢いを後押ししているのかもしれませぬ。」


「なにっ!?・・まったく忌々しい連中だ。

猫グッズなど作るなら

我々の為の犬グッズを・・・はっ!」


「犬神様、どうかなされましたか?」


「クックック・・

せっかくのお隣さんなのだ。

我が自ら乗り込んで

犬族の、そして犬神教の素晴らしさを

説いてやろうと思ってな!」


「おぉー!素晴らしいお考えです!」


「はっはっはっー!

社員一同、全員犬派にしてくれる!

そして明日からは

犬グッズ専門の会社に生まれ変わるのだ!」


こうして数日後

社長をはじめ全員が

犬神教に入信する事になったのだった・・。


~キャラ紹介~


【犬神教教祖】

先代(父親)から教祖の座を引き継いだ

新たな犬神教教祖。

元魔王が現れるまでは

犬神教を金儲けの道具程度にしか

考えていなかったが

元魔王の奇跡(魔法)を目にし

犬神教を本気で信仰し始める。

意外と有能な人物。


11話は11月16日 7:00投稿予定です!

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