第5話 時間のながれ

オニヤンマのヤゴに転生して、数年が経つ

ゆるやかだ

時間の流れがゆるやかだ


脱皮も何回もした。

かなり大きくなった。


一緒に孵化した兄弟たち少なくなった。

弱肉強食とは厳しい。


他の生物の餌になった者にいた。


まあ、僕意外は形だけのイミテーションなので、

命はないのだが、こうも目の当たりにすると、さすがに怖い。


『元気そうだね』

「まあな」


定期的に天使が報告に来る。

声だけだが・・・


「ところで天使さん』

『何?』

「ここは、僕しかいないの?」

『そうだよ。ここは君の疑似体験の場』


さすがに飽きるな。

他の生物にしておけばよかったかな。


『じゃあ、少し早いけど羽化する?』

「羽化?」

『うん。早くに手続きできそうだから、明日羽化すれば一か月』

「まだ終齢じゃないよ」

『細かい事は気にしないの』

「細かくない」


こうして羽化することとなる。



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