エネルギー

英語の授業の時。


奥先生は、教科書をだれに読んでもらおうかな~って思ってる感じで、みんなのことを見渡している。


でも、今日はなんだか、めっちゃ嬉しそう。

だれに読んでもらおうかって楽しそうにニヤニヤしながら、みんなのことを見ている。


あやなっちは

「なんか、今日の先生、あやしい...」

って思った。

「なにか、たくらんでるぞ...」

って。


そしたら、先生

「ほんなら、あやなっち!」

って、あやなっちを指名した。


「えっ?」


「あやなっち、教科書、読んでみて!」


今日の先生、なんだかめっちゃあやしい。

ぜったい、なんかたくらんでいる。

なんで、そんなにニヤニヤ楽しそうなんだ?


そう思いながらも

「はいっ...」

って言って、立ち上がって、教科書を手にして読みはじめた。


しばらく、わりとすらすらと読んでいってた。

先生も、ふんふん...って感じで聞いてくれているみたい。


「...エネルギー...」

ってところを読んだ時


「ちがうっ!」

って先生は、大きな声で、わたしに言ってきた。

めっちゃ嬉しそうな声で。


わたしは

「あっ、ちがってたのは、今のエネルギーのアクセントやな?!」

って考えて


「エネルギー」

って、最初は、ネにアクセントを置いて読んでたから


もう1回

「エネルギー」

って、エにめっちゃ強くアクセントを置いて、読んだ。


そしたら、まわりのみんな、大爆笑している。


「えーっ?なんでーっ?」

って思っていた。

しんしんは紙を丸めて、ぶつけてきた。


そしたら先生は

「エナジー」

って言って、訂正してくれた。

めっちゃ嬉しそうに...ニタニタしながら...してやったり!って感じで。


「うわっ!そうか!エナジーか?!」

って思いながら、エナジーからあとをわたしは、また読みはじめた。


「あほな高校生やんっ!」

って、あほのばれたことに恥ずかしくなった。


先生、きっと、毎年、このエナジーを読ますの楽しみにしてるんやろな~って思った。


毎年、このエナジーにはまるの、だれやろな~って感じで楽しんではるんやわーっ!


でも、わたしは教科書の続きを読みながら

「英語の授業で、みんなの笑いをとれるなんて、すごいわっ!」

って、心の中で、ひとりで喜んでいた。

きっと、ニタニタしていたかも...

先生も、めっちゃ嬉しそうに、わたしを見てる。


読みおわって

「エネルギーはドイツ語やで!」

って先生に言われた。


「あ、ドイツ語やったのか?!」

って、英語の授業で、ひとつドイツ語を学んだわ~って思た。

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