第10話 かわいいのよ…

「ほうっておけば悪いことするのかな…

 でも魔王の封印地は今はドームになっていて…

 魔王が出てくるともう大歓声でさ…」

 大歓声…?



「スモークたいてライトで照らして…」

 スターか…?



「『10年ぶりですね…よく眠れましたか…』

インタビューされて…」

 なんなの…魔王って…



「『ちょっと湿気がきついな…ハハ…』って笑って魔王応えてさ…」

 オイオイ…



「貢もののお菓子とか総菜とか食べて…」

 やっぱり貢ものがあるのね…



「『これはうまい、でも硬すぎだな…。

 ああバターの風味がきいてる…

 おいしいけれどカロリー高そうだ。

 このフライもいいけれどウスターソースより

 タルタルソースのほうが合うんじゃないか…』

 ちゃんとひとつずつ味わって感想言って…。

 まじめなんだよね、魔王。

 それをメーカーの担当者が

 タブレットに一生懸命メモしているんだ…」



「ドームの天井に頭が届くくらいの大男の魔王が

 小さいお菓子や総菜食べているのってかわいいのよ…」

 もう感想もない…


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