厄災の黙示録
夏洲(かしま)
禍禍
地球を巡れば、戦火のカーテンがメラメラと
オーロラの清き光を隔てる
地を這い、
覆い尽くそうと蠢く
戦争とは死者の数を発表するものだ
生きた数は書かれない
如何に
敵の数を減らしたか
戦争は終わって欲しい
死者の数は数えなくていいように
墓石を磨いたとて
痛めつけられた魂は逃れるすべを持たない
死者は
どこを彷徨う?
はるか故国を離れた場所で
陣地の此方とあちら
線引きのどちらで
倒れようとも
命は、命
人の価値には
代わりはない
2023/10/2
また、
地球の彼方此方で火柱が
空へ向かう
戦火は収まらない
拡大している
なぜ、どうして
わからない
わからない
わからない
わからない
わからない
人の命を奪ってまで
それは手にするものですか
耳を塞いだところで
目隠ししたとても
わたしには
見えてしまう
聞こえてしまう
そんなところ
みたくない
そんなおと
ききたくない
砂塵と硝煙
人の理性を打ち砕く
一瞬を
絵画のような
一刹を
活写し
ニコンのカメラが
無情な正確さで
念写する
頭上を飛び交う
ロケット砲
もう敵でも味方でもない
ただ、日常を奪い
人の形骸さえ残さぬ威力を
降らせるだけ
一体、何がしたいんだ
天の上で見ている誰か
こんなことで
ほんとうに、いいんでしょうか
ここぞとばかりに
両岸、武器弾薬で
堤防も造れるはず
ここには
生きてる人間がいる
生きていたかった
人間がいる
野蛮な陣地取りを
正当化しない
追われ、追いやられ
追い払い
追い払われ、
幾度
繰り返しても
そうやって
罵り合い
言いつのり
研ぎ立てた爪を立て
いつまで双方に
血を流す
二千年経とうが
一万年経とうが
誰も、安らかに住めない
安息という言葉が
最も
似合わない地に
成り果てただけだ
たとえ、誰が住もうとも
怨念が
また、災禍を招き、血を吸う大地は
何も生み出さないだろう
最初の一滴の血を受けた
その時から
その地は我がものと、
奪い合う呪詛のような
殺戮を゙繰り返す、
運命となった
たとえ、誰が住もうとも
因縁が
また、災禍を招き、血を吸う大地は
けして、何も生み出さないだろう
2023/10 の月 厄災の黙示録
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