あなたは僕と死んでくれない
知らぬが仏
プロローグ
まだ三月の中旬であるのに今年はやけに気温が高いせいか桜はすでに見ごろを迎えつつある
卒業式をつい先程終え、目的のイベントが迫った春樹にとってはそれはいつにもまして美しく映っていただろう
古びた図書室で彼女(後藤夏衣)が来るまで一人待っている春樹は読んだこともない夏目漱石やら芥川龍之介やらの作品もなぜか懐かしく思えてしまう
春樹(春休みにどこに行こうか、何をあげたら喜ぶだろうか)
彼は告白の成功云々ではなくその先のことしか考えられない
"ガランッ"
古い木製の扉が音をたてながら乱暴に開けられた
右手の症状筒を持った後藤夏衣の少し乱れている茶髪がかったロングの髪と小柄ながらも凛とした顔立ちと体型に並ぶものはそうはいないだろう
春樹の前まで来て
「あなたと付き合うことは永遠にないわ」
そう言い放って夏衣は早々と図書室から去っていった
あまりにも冷たい一言に春樹は言葉を返す余裕すらなかった
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