第10話 来る

 来るよ、と魔女の集合体が言った通り、何かが坂を進んでくる。マルメイソンはぽかんとそれを見守った。首のないものたち──胴体の列が近づいてくる。

 マルメイソンは叫んだ。私! 私はいる? 自分の体の見分けはつかないが、胴体の方はこちらの顔くらい分かるはず。けれど胴体は素通りした。魔女の集合体は、ありゃ聞く耳を持ってないからねと呟いた。

 そろそろ胴体の管理者が来るよ、隠れないと潰される、手伝っておくれ、と集合体に頼まれて、マルメイソンは彼らを茂みに押し込んだ。

 銀色の騎士がやってきたが、彼らもうつろな歩き方で、マルメイソン達には気づかずに通り過ぎた。

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