(2)

 父さんと母さんに連絡を入れて海に向かう。海水浴場は歩いて3分程の近いところにあった。かなり賑わっているけど、泳げないほどじゃない。すると突然ひまわりが服を脱ぎだす。

 「ちょ、ちょっと?!何してるの?」

 「服邪魔だから?」

 「下に何か着てる?」

 「着てる!水着!」

 「な、なんだよ…着てるのか。でもまずいよ、更衣室に行かないと…」

もう脱いじゃってる…。嫌だったよ、変な視線が飛んできそうで。びっくりするって、全員。そんな事は束の間、ひまわりは僕の手をぐいぐい引っ張っていく。

 「ちょっと?!僕は入らないって!」

 「寄人…だめ?」

 ひまわりがウルウルした瞳を下から向けてくる。ぐっ…可愛さに負けそうだ。でも、泳げないし、怖いし…う~ん、今回だけ、今回だけなら…大丈夫かな?

 「分かったよ…行こうか」

 「うん!いこ!」

 きらきらした笑顔でこっちを向いてくる。太陽に照らされていつもより綺麗に見えた。本当に…ひまわりは。仕方ないか、一人で遊んでるのも危ないし。そう、自分に言い聞かせながら海に向かった。

 浅瀬でちゃぽちゃぽするだけでも、意外と夏を感じることができる。水は冷たくて…しょっぱい。なんでこんなに暑いのに、冷たいんだろう?とか考えていたら水を掛けられる。

 「ひまわり…やったな?」

 「あはは!変な顔!」

 「許さんぞ!!着替えが無いのに!!」

 「きゃ~!」

 水を大量に掛ける。ひまわりは大喜びだ。ははは、何が楽しいんだと思ってたら…楽しいな!ひまわりと一緒だと、何があっても楽しいかもしれない。

 「痛い!」

 「どうしたの?!」

 「分かんない、足が痛い!」

 「ちょっと上がろうか」

 ひまわりに肩を貸して海から上がる。砂浜に座ってもらって、足を見る。なんの異常も無さそうだけど…なんだろうか?何か踏んだとかかな?

 「あ、もしかして攣った?」

 「なに?それ?」

 「ちょっと貸してごらん?」

 ひまわりの足を持って、引っ張ったり、伸ばしたりする。ひまわりの強張った顔が大分和らいでいる感じがする。やっぱりか…

 「どう?楽になった?」

 「うん!ありがとう!」

 「良かったよ、ここら辺で休憩して水分でも摂ろうか」

 あたりを見回す。あった、海の家!あそこで休憩しようか。

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