(8)

 僕が分かるわけじゃないんだけど…。どう答えたらいいんだろう。ひまわりが分かると答えても変だし。僕も何となく意図をくみ取る事ぐらいはできるだろうけど…完全に理解できるわけじゃない。

 「この子はね、友達が犬しか居なかったから…」

 「えぇ?!そんな、こんなに明るいのに?」

 「余計なお世話だよ!!いいじゃないか…別に…」

 「今でこそ友達が居るらしいけど…昔は違ってたのよ」

 「そう…だったんですか」

 「そんな重く受け取らなくていいですよ?」

 「だから多少の事は分かるんじゃないかしら?」

 うん、図星だよ。だけどさ…そんなにはっきり言わなくても良くない?しかも、クラスメイトになんて話をしているんだよ…。僕ら家族は重たい話が大好きな人たちみたいな印象受けないかな?大丈夫だろうか?

 「犬には優しいの、すごい可愛がるから」

 「確かに!すごい優しい顔してましたよ!」

 「ちょ、ちょっと?!いいよ…もう。」

 「でも、人間には発揮できないのよ?」

 「でも、クラスではかなり人気でしたけど…」

 恥ずかしいって。自分から言うような事でもないし。なんだこれ…僕の辱め大会が開かれているよ…誰か、助けてくれ!!

 階段の方からチャカチャカと音がした。扉が開け放たれて、リリイとひまわりが一緒に現れる。ひまわりは申し訳なさそうな顔をしていた。

 「寄人!ごめんなさい…」

 「いや…え?!こちらこそごめんね」

 「わふぅ」

 リリイは一仕事終えたみたいな雰囲気を出している。どうやったんだ…?話していた内容がすごい気になるけど。

 ひまわりはリリイを抱きかかえると、母さんの隣に座る。母さんはリリイに気づいて挨拶をしてから撫でていた。

 「リリイちゃん、久しぶりね!」

 「わん!」

 「本当に賢い子だわ」

 「賢く育ってくれて嬉しいですよ!」

 「飼い主に似るって言うから、瑠々さんに似たんでしょうね」

 「そ、そんなことはないですよ!」

 恥ずかしそうに手を振って否定している。じゃあ、瑠々さんが恋バナとかそういう話をすごく好きなんだろうな。リリイもかなり食いついてくるらしいし…。もしかして可愛い物も好きなのかもしれない。

 「でも良かったですよ、解決出来て!」

 「来てくれてありがとう」

 「いえいえ、大半は…リリイが解決したのかな?」

 「わんわん!」

 はは、相槌打ってる。本当にありがとう、リリイと瑠々さん。二人のおかげでなんとかなったよ。

 「じゃあ、私たちはこれで…」

 「送っていかなくて大丈夫そう?」

 「はい!大丈夫ですよ!ね?リリイ?」

 「わふ!」

 そういうと席を立って玄関で靴に履き替える。このためだけに呼んだってなんか…嫌だな。

 「いつでもいらっしゃい?リリイも連れてね」

 「はい、ぜひ!」

 「わんわん!」

 僕は玄関を出て見送りをした。二人の姿が小さくなるまで。

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