(6)

 翌日からひまわりを見かける度に謝ろうとするが、ひまわりはのらりくらりと躱していく。昨日は僕の部屋で寝なかったし、ずっと避けられている。はぁ…困ったな。

  もう、仕様がない。散歩にでも出るか。いつもならひまわりと歩く道をふらふらと歩いていく。う~ん…謝る方法が何も思いつかない。犬だった頃と立場が逆転しちゃったな…。

 「う~ん…」

 「わんわん!」

 ん?何か聞き覚えのある声が…そんなはずはない。リリイは元の飼い主のところに帰ったはず…。頭を上げて見て見ると、飼い主とリリイが一緒に散歩をしていた。

 「あ、奇遇ですね」

 「リリイを助けてくれた方ですよね!」

 「わぅ!」

 「そう…ですね」

 「もう一人の女性の方は…?」

 「ちょっと喧嘩しまして…今は別行動中です」

 「がるる!!」

 リリイが飛び掛かってきて僕を爪で攻撃してくる。なんでなんだ!と言わんばかりだ。まぁ…僕がしくじったからなんだけど…。

 「うわっ?!ごめんって…リリイ」

 「ごめんなさい!!こらリリイ、やめなさい?」

 「わぅぅ…」

 「大丈夫ですか?お怪我はないですか?」

 「大丈夫ですよ、これぐらい」

 リリイは恋愛の話が好きっぽかったし、怒るのも当然か。多分僕が何かやらかしているのも見抜いたのかもしれない。リリイ…恐ろしい子。人間でも見抜けない感情の機微を見逃さなのが…特に怖い。

 「良かったらお話聞きますよ?」

 「え…いいんですか?」

 「はい、話してみてください!」

 えへん、と胸を張るクラスメイト。ただ…名前とか知らないんだよね。そもそも、どこまで話していいのやら…。喧嘩の原因もきっと意味が分からないよなぁ。

 好意に甘えて、二人で河原に座る。話をする前に、自己紹介しておいた方がいいかもしれない。

 「え~と…一応、麻木寄人です」

 「そっか!自己紹介まだでしたね!私、安藤瑠々(あんどうるる)です!」

 自己紹介が済んだところで、急に本題に入る。ひまわりと喧嘩してしまった事、謝ろうとしていても避けられてしまっている事を簡単に説明した。

 「謝りたい気持ちはあるんですけど…」

 「なるほど、それは難しい問題ですね」

 そうですよね~。事情も分かってないから余計にややこしいかもしれない。はぁ…どうしたものかね。

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