(5)

 動物園…もうちょっと見たかったけどな~。でも、ひまわりを楽しませてあげる事の方が優先かな。さて…何をしてあげたら機嫌が良くなるかな…?

あたりを見回して、何かないか探す。食べ物で機嫌が良くなるといいんだけど…。あ、クレープか!おやつには丁度良さそうだな!

「ひまわり?」

「なに?」

「おやつ食べる?」

「おやつ?」

ひまわりは足を止めて僕の方を見る。よしよし…少しだけ笑顔が戻ってきたぞ…!

「こっちに行こう」

「うん!」

いつもの向日葵に戻った…良かった。少しだけクレープ屋に並び二つ購入する。チョコレートとフルーツを一つずつ。

クレープ屋の目の前にあるベンチに並んで座る。ひまわりの分は包装紙を取り除いて渡す。

「いただきます」

甘い…。フルーツだからまだ大丈夫かと思ったけど…想像していたよりも甘い。ひまわりは…?あぁ…口の周りがクリームだらけだ。

「口見せて」

「ん!」

指でクリームを拭う。手を洗いに行かなきゃ。何故か、ひまわりは僕の手をつかんで離さない。あむ。え…?僕の指はひまわりの口に吸いこまれた。

「ひまわり?!ちょっと…」

「かわいそう!」

「ん…?クリームが?」

「うん!」

そう…ね。勿体ないよね…ってなるか!!手だって汚いし…汚いし…。指…どうしよう。洗ってくるか…。

「ちょっと持ってて」

「わかった!」

クレープ屋の隣にある水道で手を洗う。ひまわりの唇は柔らかかったな…って違う!そうじゃない…もう…どうしてくれるんだ。洗い終わって後ろを振り返り、ベンチに戻る。ひまわり…?僕の分食べた?

「あれ?クレープは…?」

「どっか行っちゃった…!」

「うん?口の端にクリームが」

「ない!」

ひまわりは口の周りを少し舐める。この感じ…食べたな?別にそこまで食べたかった訳じゃ無いからいいけどさ…?一言ぐらい言ってくれ?

「言ってくれたらあげたのに」

「ほんと?」

「うん、別にいいよ」

「じゃあ…食べた!」

「いや、事後報告じゃないか」

「いいって言った!」

うん、言ったけど。まぁいいや。ひまわりがご機嫌になったのならそれで。

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