第9話
夜が明けると診療所はすでに炭化した木材しかなかった。
少し離れたところに十五程の戸板が並び、その上には真っ黒で、様々な形をした炭が乗せられている。それを検分する役人が大勢いた。
派手な火災だったが、もともと診療所の敷地が広かったことと周りの建物を崩したことが功を奏し、延焼は最低限に限られていた。
それでも七件は全焼している。
また、近くでは奇妙な事件も起きていた。五町ほど離れたところに惨殺体が二体在ったことだ。その二体はこれもまた、炭となっていた。しかし片方は肩口から
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「すまない、逃がした。地下を開けて欲しい」
明け方に帰ってきた
帰ってきた
それから
風呂から上がり、
「
昨夜の話を
それより驚いたのは火薬が使われたということだった。
江戸は各関所で厳重な審査と検査が行われ、鉄砲と二尺三寸以上の刀、女の出入りは管理されている。火薬自体も江戸では江戸城で管理されているものだけのはずだ。それが昨日の夜使われていたのだ。
「連れてきた女だが、死ぬ前に尋問したい。腕を斬り落としたからそんなに保たないはずだ」
床には、まだ目を覚まさないお
無理矢理気絶させたのでもう暫くは目を覚まさないだろう。その時までに黒幕を聞き出し、お
少なくとも二人を連れ去られたのだ。不覚としか思えない。
お
私が逃がしてしまった。
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