常世 黄泉比良 スサノオの屋敷

 は、しょうがくせいようれきまんようしょ

 あらたまかみしき

 そのしきおも

 そこるが、かたいかずちひかりにあたりはあかるい。



 さんしんいっしん、スサノオは叔母おばうんめいがみ、ククリとはなしていた……


 ……いいや、なぐさめられているとったほうが良いか?


きなさいスサノオ。うえものが、そのようでどうするのです。その姿すがたたらあねうえ如何どうおもことか」

「それはかってはいますが……」


 そうかえすスサノオだが、だれてもきがよう

 ゆうは、これからとあるけいかくじっこうするため

 このけいかくしっぱいわれば、スサノオのたばねるくにしんあねのアマテラスたばねるてんしんたたかことになりかねず、ははるイザナミの身体からだけんはらんだまま。

 元々もともとこのけいかくは、じゅうねんまえおこなはずった。


 しかしきょうりょくしゃにんげんたちからのねがいで、今日きょうまでえんしていたのだ。

 スサノオからすれば、このにんげんたちからのねがいは、あねたたかのうせいさきばしはんめんははおや身体からだたんさきばしにしてしまうためいままでずっとおもなやんでいた。

 いや、いまでもスサノオはなやんでいる。


いまならまだ、けいかくえんる。むかしようあやまちはこしてはならん。だが……)


 そんなスサノオのおもいをってからでか、ククリはスサノオにたずねる。


「スサノオ」

なんでしょうかククリさま?」


 かえすスサノオに、ククリはもうわけなさそうにう。


わたしそうだんしたばかりに、貴方あなたこころいためているのはかります。ですからいまからでもあのうらまれるのはわたしでも……――」


 しかしそのことをスサノオはちからつよていする。


「それはなりません! あねうえこころためにも……」

(そうだ……このけんかんしてはわたしくてはならん。ほかかみでは、あねうえはきっといまじょうこころきずいてしまう)


 そうこころつよおもったスサノオは、ははおもかげつククリのかおさらおもう。


わたしははうえたすけるとめたのだ。むかしの、いてあばれるだけのわたしとはちがう…… いまわたしにはぞくまもるだけのちからる)


 スサノオのかおきがわる。

 そしてげんこえで、神々かみがみぶ。


「スセリ、シュテン、サルタ、アラハバキよ」


 するとスサノオのはいに、じんようなスセリ、みやびやかなせいねん姿すがたのシュテン、しょろうはなのデカいだんせい姿すがたのサルタ、ようえんじょせいようなアラハバキが姿すがたあらわした。


びですか、とうさま


 スセリがそううと、スサノオはかえしんげる。


「これからしんヒルコをはらけいかくはじめる」

なにえらそうに、うごくのはおれたちだろうに」


 もんかえすシュテンにスサノオはう。


「そううな、わたしけつひょうめいようなモノ。わるいがすこはなしをいてもらうぞ」

「それならわたしぜてもらおうか?」


 そうったせいねん姿すがたまどかがスサノオのはいあらわれたので、スサノオはまどかけたままく。


如何どうやってた?」

がみれててくれた」


 われてスサノオはククリがことき、まどかさいく。


「そのククリさまは?」

らんな。いままえひつようか?」


 まどかこたえにスサノオはおもう。


たしかに、うんめいすがっていてはいかんか……)


 そしてしきしんもどし、はなしをはじめる。

 ものすごしんけんおもちで……


「これからヒルコをはらけいかくはじめる。こまかいことすべなんじまかすが、せきにんすべわたしう。そのわりかならずこのけいかくせいこうさせよ、いな」

たりまえだ。そのわり、おれけいやくゆうせんするぞ」


 シュテンがそううと、サルタがシュテンに鹿にしたようく。


「そのことせいだけでことしょうめいしてもらうぞ?」

おにうそかんさ」


 ってシュテンが姿すがたすと、サルタはスサノオにけてう。


わたしもこれで……」


 そして姿すがたした。

 すると、アラハバキがすこいてスサノオにく。


「スサノオ」

なんだ?」


 かえしたスサノオに、アラハバキはがおう。


「もしわたしうらったらどうする?」


 しかしスサノオは、しんけんかお調ちょうかえす。


わたしねがい、さきほどことがいい」


 そのことけてアラハバキはおもう。


(つまり、そんなことはさせないとことか……)

かった。そのねがかなえてやろう。いつわりとはえ、ほしがこのくにはいするのもおもしろい」


 そういながらアラハバキも姿すがたし、それをていたまどかがスサノオにう。


「それではわたしも。えたしおやかたらいのじゃだろう、すこわらどもたちあそんでくるか……」


 しかしスサノオはせんをスセリにけ、まどかめる。


まどか。おまえにもいてしい」

「それはかまわんが、いのか?」


 まどかいに、スサノオはへんかえす。


かみひとためる、そしてひとくしてかみはない。わたしむすめかみとしてはなしをしたい、おまえてくれるとたすかる」

かった、きょうりょくしよう」


 まどかがそうことかえすと、スサノオはスセリにかい、やさしくかたはじめる。


「スセリよ。わたしせきにんるとはえ、おまえみずからやるとったことけいかくしっぱいしたら、おまえもそれなりのばつけるだろう」

しょうしております。ですがわたしちちうえと、あのひとやくちたいのです」


 そうかえしたスセリのかおしんけんそのもの。


(そう……どものいないわたしは、わたししんちからるしかない。せめてあのしんどもぐらいのことは……)


 スセリがそんなことかんがえていると、スサノオがスセリにう。


うなスセリ。わたしもオオクニヌシも、おまえにそのようかおのぞんではおらん」


 スサノオのことで、ぶんがどんなかおをしているかき、スセリはがおつくってへんかえす。


しんぱいさせてしまい、もうわけありません」


 するとスサノオは、がおさらことかえす。


「スセリ。オオクニヌシとおなように、わたしねがいをかなえてくれるか?」

なんはなしですか?」


 がるスセリに、スサノオはう。


「オオクニヌシはおまえわたしからうばだいしょうに、いちてきうつしあるじった。おまえみずからそのやくをやるだいしょうに、んでしまったどもたちまもり、けいかくわらせわたしもともどってい」


とうさま……)


 スセリはそうこころなかつぶやくと、いっさがってからスサノオにこたえる。


「そのたくせんとしてたまわります」


 そしてがおのままスサノオのまえから姿すがたした。

 スセリの姿すがたえると、スサノオはそのすわみ、ククリをぶ。


「ククリさま


 するとククリがまどかよこあらわれう。


なにようですか?」

あたりにスセリは?」


 スサノオがそうくと、ククリはこたえる。


ませんよ」


 ククリのこたえにスサノオはかるいきき、あんしたようひとごとくちばしる。


「これでちちおやとしての芝居しばいわった。あとは……」


 そんなスサノオを、ククリとまどかがおめていた。

 それにいたスサノオは、まどかく。


なにおもしろい?」

「いや、そのなささこそほんばんゆうめいかみ、スサノオだとおもってな」


 まどかがおでそうこたえると、ククリがことつづける。


「スサノオ、けつだんしてくれましたね」

「いいえククリさまわたしはまだまよっています。ですがあねうえいまやすめなければ、わたししっぱいしたときわりがくなる」


 スサノオのこといてククリはおもう。


はんぶんうそはんぶんほん。やっぱりあまいわねスサノオ、だからこそわたし貴方あなたはなしをけたんだけど)


 そしてククリはスサノオにう。


ようね」

なんはなしです?」


 しかしククリはスサノオのことにはこたえず、まどかかってく。


まどかわるいけどいっしょさいわらてくれる?」

ゆういていか?」


 かえまどかにククリはおしえる。


おとこどうはなしに、にんきはすいだからかしら」


 そしてククリはまどかともに、そのから姿すがたす……

 とどうに、スサノオのはいあらたにふたつの気配はいあらわれた。


祖父じいさま


 そうとしわかせいねんこえに、けられたスサノオがくと、其所そこにはむすめ婿むこのオオクニヌシと、まごのタケミナカタの姿すがたった。


なんようだ?」


 かえすスサノオに、タケミナカタはれいただしくこたえをかえす。


けいかくはじまるまえに、わたしわがままいていただいたこといて、れいつたえておこうとおもいます」

「そんなことい。どのみちまえふうじられたぶきちからか、やついかづちちからけいかくひつようだ。おまえはそれをようしたにぎん」

「それでもわたし貴方あなたれいもうげたい……」


 そうったタケミナカタのこころには、おもいがった。


(もういち彼奴あいつたたかえるのだ。とあのようしゅうたいさらさぬためにも……)

かならずや、らいじんはらってみせましょう」


 ちからつよったタケミナカタに、スサノオはしんけんかおかえす。


「そこまではっきりったのなら、かならやつはらってせよ」

勿論もちろん。このちかい、たがわぬことりません」


 へんをしたタケミナカタはおもう。


(このけんかんしては退もとからないが、これで……)


 するとしばらき、こんはオオクニヌシがスサノオにかってべる。


わたしからも義理父おとうさまれいもうげます。つまねがきいれていただき、かんしゃいたします」


 そのことにスサノオはオオクニヌシのほうき、いやそうなかおかえす。


むすめねがいをいたまで、さまにはかんけいことだ」

「そうおおせなら、そのように」


 かしこまりそうかえすオオクニヌシに、スサノオはさらいやそうなかおをした。

 タケミナカタは、そんなしんてクスクスわらってう。


祖父じいさまけですね」

「フン」


 はないきあらくそうったスサノオは、オオクニヌシとタケミナカタにけた。


「そうえばふたかた。よくスセリさまきらわれるとかっていて、わたしねがいをいてくださいましたね」


 おもしたようにそうったタケミナカタに、オオクニヌシがこたえる。


「それはおまえこころかることと、たたかちからおおほうけいかくすいこうゆうこと、それとスセリはぶんれてくれるとおもったからだ。おまえきらわれてはいないからな」

ほんとうですか、それ?」


 オオクニヌシのことに、おどろいたタケミナカタがそうかえすと、オオクニヌシはしんけんかおをしむすたのむ。


「それはほんにんくがいい。おまえたのめたことではないが、スセリのことたのむぞ」


 そうわれタケミナカタはいっしゅんおどろくが、みをたたえてへんかえす。


しょういたしました、ちちうえ


 そのへんともに、スサノオがタケミナカタにけたままう。


「タケミナカタ」

「はい」


 へんともにタケミナカタはスサノオのほうき、スサノオはけたままはなしをつづける。


げんはんつき。それまでにてんしんたちふういんし、アラハバキたちいつわりのてきとし、スセリをともとしてえらんだどもたちきたげる。うつしさまえ、タケミナカタがタケミカヅチをはらちからにしたのちしんヒルコをじょうげ、アラハバキ共々ともどもえらんだどもたちはらわせる」

ぞんじております」


 タケミナカタがそうへんかえすと、スサノオはかえり、しんけんかおさらはなしをつづける。


「もしなにかのゆうけいかくぞっこうしょうきたあいあにうえちからにんげんたちおくかいざんしたのちただちにこのけいかくまどかおりあたまげたあとあねうえひきいるてんしんとの戦闘せんとうるだろう」

「まぁこうはしんじないでしょうからね。ですがそれは……――」

わたしもそれはかっている。はずいしってはならん…… だがなにこるかからんじょうけんひつようだ」


 そのことどうに、スサノオのまわりにふくすうじゅぶついてあらわれた。


「タケミナカタ。わたしとオオクニヌシは、とこときまでしんヒルコをかんせねばならん。そしてこれらのじゅぶつなかには、おまえははおやからのものる。これらを使つかい、なにったときはおまえのこったものれ。そしてスセリをまもってくれ」



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