第20話:放課後、啓の家にて(1)
「───というわけで、いらっしゃい!朔!」
「一体どういうわけだよ」
放課後、朔は啓の家へやってきていた。
「なんでそんなに強引に連れて来たがるんだよ。彼女に引かれるぞ」
「彼女は作らないから問題ないな」
「そして少なくとも俺にはもう引かれてる」
「嘘だろ!?」
それはもう酷かった。
言葉の合間にも、トイレに行っている時でも、机で寝たフリをしている時にも、「今日うち来てくれ!」と声を張ってくる。
帰りが遅くなってマリアに心配をかけるわけにはいかないし、それでも朔は行くつもりは全くなかった。
授業を終えてすぐの放課後にクラスの面前で土下座までされては、流石の朔と言えど断れなかった。
そして今に至るというわけだ。
「そこまでして俺を呼んだわけだけど、なにをするつもりなんだ?」
「うーん……」
「やりたいことがあって呼んだんじゃないのかよ」
首を傾げる啓。本当に何のために呼んだんだか。
思い返せば、啓の頭がおかしくなったのはあの電話がかかってきたときからだった。
「なあ。あの昼の電話。なんの電話だったんだよ」
「嫉妬させちゃったか?ごめんな」
「茶化すな。あの電話以降にしつこくなったから聞いてるだけだ」
茶化されるとどうしても流されそうになってしまうが、しっかりと問い詰める。
朔だって迷惑なくらい誘いを受けた身である。聞く権利はちゃんとあるはずだ。
「あれは母からで、今日遅くなるからって」
「人を誘う理由が恋人とエッチするときのやつじゃねぇか。しかもリビングにお母さん居たからな」
「そういうときもある。毎回エッチするわけじゃないだろ?」
「それは意味わからん。そろそろ誤魔化さずに教えてくれ」
ここまで誤魔化されるとなると、いろいろ疑ってしまう。
啓はマリアの存在を知らないだろうし、この件にマリアは関係ないと思うが、とても心配である。流石に過保護すぎるだろうか。
「とりあえず、内容は言えないけど朔に関係はねえよ。そこは安心してくれ」
となると、色恋関連だろうか。女の子に迫られたから朔を都合よく使って断ってるとか。
「ちなみにお相手は」
「女子だな」
「なるほど」
だいたい合ってそうな雰囲気だ。イケメンもイケメンで大変なのだろう。
「めんどくさいのは嫌だが、何かあったらちゃんと頼れよ」
「朔って……ツンデレっぽいよな」
啓に目だけで訴える。言い返したらツンデレっぽくなってしまうからだ。
「俺は遅くても19時には家に居られるように帰るからな。それだけは譲れない」
「分かった。ありがとな。朔」
「それで、何かやることないのか。このままだと暇だぞ」
今の時刻は16時過ぎ。流石に3時間近く何もやることなしは辛い。
誰かと家で遊ぶという経験も無さすぎて、何も思い浮かばないというのも別の意味で辛い。
「俺的には朔と居られるだけで楽しいが……そうだな、やること探しというものをやろう」
「今と同じじゃねえか」
「そうとも言う」
「そうとしか言わねえよ」
ははは、と啓が声を上げて笑う。別に何も面白くない。
正直、早く帰りたい。
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