第111話

シュバルツ達はいつものように冒険者組合の解体所で狩ってきた牛蛙を出す。


まずは大物である変異種をどーんっと出す。


「おいおい。まじかよ」


解体所の職員達があまりのインパクトに驚いている。


フラン、ミミ、シズノもそれぞれのマジックバックから牛蛙を出す。


シュバルツは自分に視線がないのを確認して異空間の倉庫区画に移動して迷宮で狩った牛蛙を回収して戻ってくる。


何食わぬ顔でシュバルツも3人に混ざり牛蛙をどんどん出していく。


「これだけの量は今の人数じゃ無理だな。おい、非番の連中を呼び出してこい」


解体所の職員の1人が駆けていく。


牛蛙もそうだが基本、迷宮産の魔物は鮮度が命だ。


時間をかけずに解体しなければならない。


「はぁ・・・。通常の牛蛙については計算できるがこの馬鹿でかい奴は後日の清算でいいか?」


「えぇ。構いませんよ」


お金には幸い困っていない。


きっちり代金を支払ってくれるならシュバルツ達としても困らない。


「それじゃ、とりあえずこいつを渡しておくぜ」


シュバルツ達は金額のかかれた票を受け取り受付に提出する。


受付も慣れたもので革袋に入った代金を支払ってくれた。








城へ戻り、夕食を食べる。


普段ならこの後、シュバルツの部屋に集まるのだがシュバルツは祖父であるオグワールに呼び出されていた。


「どうかしましたか?」


「元、マールタル王国の状況がまずいかもしれん」


「まずいとは?」


「元々、食料が不足して攻め込んできたわけだがその際に無理な食料の徴発があった」


「もしかして種籾分まで徴発したのですか?」


「その通りだ。このままでは大規模な食糧不足が起きる」


「当面の食料を出すこともできますが種も必要ですか?」


「頼めるか?」


「わかりました。現地の状況がわからないので何種類か用意しておきます」


「すまぬの・・・」


「いえ、どうせ言い出したのは王太子殿下ではありませんか?」


「その通りじゃ」


「それで、肝心の王太子殿下は?」


「しばらく、統治の為に残るそうじゃ」


「父上は?」


「これ以上、功績をあげられると困るのか戻ってくる予定じゃ。公都に戻る前に一度顔を見せるといっておった」


顔を見せるというよりは生まれたばかりの娘に会いたいのだろう。


「では、歓迎の準備をしないといけませんね」


「手配はこちらでしておく」


「それでは失礼します」


シュバルツはしなければならないことを考えながら自室に戻った。

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