第108話

王太子であるサイファーと父親であるシュタイナーは戦争の事後処理があるとのことでシュバルツ達は馬車を出してもらい、迷宮都市アリスへの帰路についていた。


去り際にサイファーから4年後に王都で会おうと言われた。


10歳になると貴族の子供は顔見せとして王城に集められる。


それは、慣習でありシュバルツも逃げることは許されない。








迷宮都市アリスへ戻る道中、宿屋に寄ったのだがミミとシズノがシュバルツと同じ部屋がいいと騒ぎフランが説得するという事態が起きたがそれ以外で問題になるようなことはなかった。


迷宮都市アリスへと戻ったシュバルツ達は真っ直ぐ冒険者組合に向かった。


シュバルツ達が受付に向かうとすぐに組合長室に通された。


「ずいぶん遅かったな・・・。無事で何よりだ」


本来であればもっと早くシュバルツ達は戻ってきていたはずだがマールタル王国の首都まで行っていたので帰りが遅くなってしまった。


「それについてはこちらを」


サイファーはシュバルツ達の為に依頼をした証明の書類を用意してくれていた。


「げっ・・・」


封印は馬に鷹、そして剣がクロスされたものだ。


マーセルは専用の魔道具で封印をはがしていた。


王家や上級貴族の封印は下手に扱うと後々問題になることから専用の魔道具が存在していた。


「王太子殿下の護衛か。お前達も災難だったな」


「いえ、それなりに有意義な時間でした」


「そうか・・・」


マーセルはごそごそと鍵のついた引き出しをあけて革袋を取り出してシュバルツの前に置いた。


「これは?」


「王太子殿下の護衛費だよ。あんまり表に出せないからな。機密費って奴さ」


「ありがたく貰っておきます」


「そうしてくれ」


「それで依頼の扱いはどうなりますか?」


「王太子殿下の部下がほとんど相手したらしいが配慮してくれってお達しだ。達成とするしかねぇだろ」


「なんだかズルをしたような気持ちになるのは何ででしょうか」


「まぁ、確かにそう思うかもしれねぇけど長い物には巻かれとけ」


「それもそうですね」


これでシュバルツ達は晴れてCランク冒険者だ。


危険度は跳ね上がるがより稼げる迷宮に挑むことができる。


「受付にこれを渡してくれ」


マーセルはそう言って書類を渡してくれた。


手際の良さを考えるとはじめから用意していたのだろう。


「ありがとうございます」


「話は以上だ。わかってると思うけど無理はすんなよ」


「はい」


シュバルツ達は貰った書類を受付に渡し、冒険者カード更新して城へと戻った。

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