第62話

ゴブリンの洞窟での狩りを終え修行部屋で休憩中だ。


「ふぅ・・・。疲れましたね」


「もうゴブリンなんて見たくない」


ゴブリンとひたすら戦わされてミミとシズノは精神的にきているようだ。


シュバルツは倉庫に移動して果物を人数分取ってくる。


「これでもどうぞ」


「うわぁ。果物だ。ありがとう」


「いえいえ、いくらでも手に入りますから」


「他にも空間があるの?」


「今あるのはスライム出てくる初心者の草原と森。後は、倉庫と工房区画ですね」


「うわぁ・・・。チートみたいですね」


「開放するのに結構苦労したんですよ」


「そうなんだ・・・」


「まぁ、皆のおかげで順調に恩恵ポイントが溜まっているので近々農場区画を開放する予定ですよ」


「農場かぁ。新鮮なお野菜が手に入るね」


「シュバルツ様。1つ聞きたいのですが?」


「フランどうしたの?」


「この空間で得た物はどうしているのですか?」


「基本的には外に出さないようにしてるよ。出所を聞かれても困るし市場を混乱させたりするのは嫌だからね」


「基本的には・・・。持ちだしているのですね?」


「錬金術を学ぶ時にこっそりね」


「あぁ・・・。あの方は腕は確かなのですが管理能力が欠けていましたね」


「出来上がったものを回収して供給しないようにはしてるから」


「それなら結構です」


「ねぇねぇ。この果物もっとない?」


「今取ってくるね」


ミミとシズノはすっかり果物を気に入ったようだ。


庶民の甘味と言ったら蜂蜜や新鮮な果物がほとんどだ。砂糖なんて高級品は口に入ることすらない。


シュバルツは大量の果物を持って戻ってきた。


「うわぁ。見たこともない奴もある」


「そんなに気に入ったなら持って帰ってもいいよ」


2人もマジックポーチがあるから大量の果物を運べる。


勿体なくて大量に確保したもののシュバルツ1人で消費出来る量ではなかった。


それに足りなくなればまた採りに行けばいいのだ。


「シュバルツ様。ありがとう」


「さて、食後の運動に行こうか」


「えっ?まさか・・・」


「うん。ゴブリン退治の時間だよ」


「はぁ・・・。わかった。少しでも早くシュバルツ様に追いつきたいから」


「頑張るね」


時間を気にしなくてもいいこの空間で頑張れば確実に実力を伸ばせる。


それは今後に大きく影響するはずだ。


次に冒険者ランクが上がればいよいよ迷宮に挑める。


自分達の身を守る為にも2人には頑張ってもらいたい。

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