第60話

シュバルツ達は久々の冒険者活動の為に森にきていた。


ミミとシズノはやる気に満ちている。


オグワールの好意で装備が一新されている。


ミミはミスリルの短剣に皮装備。


シズノもミスリルの槍と皮装備。


防具を軽視する冒険者も多いがここ数日で2人の考えは変わっていた。


防具にこそお金をかけるべきなのだ。


生きていれば再起ができる。


武器はそこらへんの物でも代用できるが防具はそういうわけにもいかない。


ミミとシズノの腰にはマジックポーチがつけられている。


マジックバックほどの容量はないがそれでも色々な物を入れられる。


売れそうな物を回収しつつ現れた魔物も倒していく。


シュバルツはカウンターを確認する。


パーティ―メンバーが倒した魔物もしっかりカウントされている。


カウントされないなら仕方ないと思っていたがそこは親切設計のようだ。


夕暮れまで活動して冒険者組合に向かう。


人数が増えただけあり収益もかなりのものが期待できそうだ。


受付で札を貰い解体所へ。


解体所の職員が驚くのを無視して成果物を次々に置いていく。


1人では対応は無理だと判断したのか複数人で鑑定をしていく。


「お待たせしました」


「いえ」


鑑定結果を受け取り受付に戻る。


他のメンバーは酒場で待っていてもよかったのだがはじめて4人で狩りをした記念だと仲良く列に並んでいた。


順番が回ってきて鑑定結果を渡すと受付嬢の顔が引きつっていった。


一度、受付嬢が下がり重そうな袋を持って戻ってくる。


「お待たせしました」


「ありがとうございます」


「このままいけばすぐに冒険者ランクがあがりそうですね」


シュバルツは冒険者ランクが上がりそうと言われてにやにやが止まらない。


「シュバルツ様。嬉しそうですね」


「冒険者ランクを上げるのも目標の1つだからね」


冒険者ランクが上がればそれだけで利益がある。


将来的にどうするかはまだ決めていないが公爵家の籍を抜ければその恩恵はなくなる。


だが、冒険者として高ランクであれば色々なサービスや恩恵を受けることが出来る。


兄妹はシュバルツが家から出るのを止めるだろうがこのまま命を狙われ続けるなら公爵家の籍を抜けることも考えなければならない。


まだ時間はあるだろうが冒険者ランクを少しでも上げるのは必要なことだった。


シュタイナーが迷宮都市を勧め後押しをしてくれているオグワールはその辺のことを十分に理解しているのだろう。


その期待に応えるためにも頑張らなければならない。

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