第37話
「どうしてもダメですか?」
「ううむ・・・。ならば、何か1つ儂を納得させる成果を出してみよ」
「わかりました」
シュバルツは絶対にダメだと言われなかったことにほっとする。
使用人に案内され自室になる部屋に入りすぐに修行部屋へと移動した。
修行部屋に入ったシュバルツは伐採の為に恩恵ポイントを使って斧を購入し森に移動する。
そして、木を次々に伐採しはじめた。
木が倒れると消えていき加工された木材だけが残る。
予想していたとはいえこの世界はとことん都合よく出来ているようだ。
ある程度木材が集まったら工房区画に移動し薄い板をいくつもつくる。
出来た薄い板を丁度よい大きさにカットして絵柄を彫り込んでいく。
シュバルツが作っているのはトランプだった。
この世界では紙は貴重品であるし何度も使うには耐久力が足りない。
異世界物ではオセロなんかが有名だが真似をしているようで嫌だった。
それにトランプなら1回作ってしまえば色々な遊びができる。
根気のいる作業ではあったが何とか1セット完成する。
大々的に売りに出すなら焼き鏝で作るのも悪くなさそうだ。
出来上がったトランプを持ち現実世界に帰還する。
そのままオグワールの執務室に突撃した。
「シュバルツ。どうした?」
「お爺様に見ていただきたい物があります」
「その手に持っている物か?」
「そうです。これはトランプといいます」
シュバルツはオグワールに簡単な使い方を説明する。
「ふむ・・・。聞いた限りは面白そうだな。実際にしてみよう」
今回遊ぶのはババ抜きだ。
オグワールの顔が面白いように変化する。
「ぬぅ・・・。負けた」
オグワールは悔しそうにしている。
「お爺様。顔に出すぎですよ」
「そうか。これは心理戦でもあるのだな」
「大人数でやるともっと面白いですよ」
「それはありそうじゃな」
「他にも色々な遊び方があるんですよ」
シュバルツは丁寧に説明する。
オグワールはメモを取りながら真剣に聞いてくれていた。
「奥が深いのう」
「お爺様。これを売るのは難しいでしょうか」
「なるほど。これがお主が示す成果ということじゃな」
「そうです。ダメでしょうか?」
「条件を出したのは儂じゃからな。いいだろう。じゃが、護衛の騎士を連れて行くのが条件じゃ」
「ありがとうございます」
シュバルツはお礼を言って退室した。
オグワールは溜息をつく。
「いやはや、ここまで早く条件を満たすのとは。成長が楽しみじゃ」
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