雨風

窓を叩く雨風が

開けなくていいと言っている


ストーブで暖まった部屋の

意味のない加湿器


ガラスの内側が結露して

少しだけ外を演出し


カーテンを閉めたら濡れるから

薄暗闇の雨空を眺める


閉め切った部屋が居場所なら

空気は混ざらなくていい


強まる雨音に言葉を隠して

私だけの居場所を歌う


かなしみも よろこびも

伝わらないものが多すぎて

ひとりでわかってればいいと

ぽろぽろ ぱらり

部屋に雨音


風よりうねり 波打つ歌は

誰にも届かず 雨風と


青空を美しいと評すなら

私はこのまま 晴れなくていい










  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る