第3話 オタク中年だからな
そう実は、俺は転生者なんだ。
大したことは無い。
俺の前世の名前は田中一郎。
前世の俺はちょっと変わったギャルゲー好きのオタクだった。
◆◆過去◆◆
かれこれ20年以上ギャルゲーをやっているが...最近になって実は熱が冷めている。
最初にギャルゲーを手にしたのは12才の時、今に比べれば粗い画面の少女に恋い焦がれていた。
だが、自分が歳を重ねていくに連れ相手の女性に求める物が違ってきた。
自分の年齢がとうとう38歳になった時に惰性で続けているギャルゲーにも無理を感じるようになった。
《はぁ..流石にもう無理だわ、この歳になって中学生や高校生を口説いても全然面白くないわ(ゲームの世界です!)》
《よく考えたら、此処に最初出てくる母親の方が俺に齢が近いんだよな...》
そんな事を考えてギャルゲーを見ていたら...母親のキャラクターが気になり始めた。
見た目も凄く若く見えるし、巨乳で妖艶だ、しかも主人公が辛い時や苦しい時には必ず助言をくれる。
作品によっては傷ついた主人公を抱きしめるシーンもある。
ヒロインよりこっちの方が絶対にいいな。
綺麗で包容力があって優しい母親、そしてどう見ても包み込むようなその愛は絶対にヒロインより上だ。
この歳になって俺は「疑似マザコン」になってしまったようだ。
ちなみに俺の母親は俺が18歳の時に死んでいるが...ただのおばさんだから対象外だ。
勿論、親父が亡くなってから俺が10年以上育ててくれたから嫌いじゃないが恋愛対象じゃない。
そう、俺は『正確には二次限定マザコン、もしくはおばさん好き』なんだ。
「だったら、エロゲー買えば良いじゃん? 今熟女系のエロゲーってあるんだぜ…」
そう、今では顔も思い出せない友人に言われたことがある。
俺は5万円程のお金を持って秋葉原に行った。
中古品から新品迄合わせて15本買ってきて遊んだ...その結果。
駄目だな、これじゃ、ヒロインの女性がビッチだったり、最初は俺の好みだったのに急に変態になる。
作品的に仕方ないと思うが...可愛い女性だったのに一回SEXしたらビッチに早変わり...その後はSEXだけ。
可愛くて好みの女性だったのに服を脱いだら...ぽっちゃりで腋毛がボーボーだったり...
非エロの熟女とは全く違っていた。
確かに絵は好みの物があるけど...綺麗で包容力があって優しい母親みたいな存在とはどこか違う気がする。
それからはどうしても自分の好みの熟女を見つけたくて、エロ漫画から普通の漫画、エロゲーは懲りたからゲームやアニメまで買い漁った。
だが、好みの熟女、主に母親が出てくる作品はその全部が非エロだった。
こんな生活を送っていたら、抜くのが二次の母親だけになった。
しかも、エロの肉食系は駄目なので、非エロの漫画や非エロのエロゲーの母親のエロイ姿を思い浮かべて抜く毎日だった。
そんな事じゃいけない、そう思い熟女系のソープランドで32歳の可愛らしい写真の女の子を指名して遊びに行った。
《なんなんだこの生物は...おばちゃんじゃないか..修正も此処までくるとアートだな》
年下にも関わらず、しかも熟女系の高級店なのに...おばちゃんだった。
どうにか勿体ないから時間内で理想の二次母を思い浮かべて何とか抜いたけど...虚しさしか残らなかった。
落胆しながら...歩いていた。
溜息をついてぼーっとして歩いているのが悪かったんだろう...車が来ているのに気が付かなくて…敷かれて死んだ。
◆◆◆
これが俺の前世だ…酷い物だろう。
転移じゃなくて転生な。
こんな記憶があっても何も役に立たない。
それにこの世界、一般人が出来そうなことは『先に転生した奴』が全部やり尽くしているから知識無双なんて出来ない。
今じゃ珍しいけど、大昔には沢山の転生者や転移者が居たらしいんだ。
今はかなり少なくなり、滅多にいないらしいけど、特に重宝される事も無い。
昔の記憶があると言っても。
『そうなんだ。』
で済む位だ。
転生者として知識は殆ど役には立たなかったが、性格という意味なら役にはたったな。
『まだ子供だから』
そう思えば大体の事は許せる。
カイト達は15歳。
この世界じゃ15歳は成人だけど、前世で15歳と言えばまだ中学生。
前世の自分は働きもせず中学に通い親の金で遊んでいた。
カイト達の方がまだ真面だ。
今の俺は前世で38歳、心は完全に中年だ。
だから、フリージアもミルカもリダも子供に思える。
3人とも確かに綺麗で可愛いが年齢で言うならJKどころかJCだからな、俺は残念ながら、この年齢はストライクゾーンから外れる。
ギャルゲーの年齢のジュニアアイドルを見ても可愛いとは思うが、恋愛対象にはどう頑張っても見られなかった。
色々カイトに見せつけられたが『甥っ子や姪っ子のエッチを見てしまった』みたいで気まずかったよ…マジで。
カイトは別の意味で可愛いと思うよ…甥っ子みたいだ。
同い年位の子と付き合う事は無理だ、心が38歳のおじさんだから。
昔の転生者は、この位の精神年齢差があっても付き合えたようだが、俺には無理だった。
『話が全く合わない』から相手に話を合わすだけ、本当に疲れるんだよ。
なんて言うのかな?
つい『子供っぽくて可愛い』そう思えてしまう。
ミルカの頬っぺたについた卵を拭いてやった時に...殴られた。
俺からしたら、勇者パーティの仲間は子供にしか思えないから、恋愛の対象にはならない。
解るだろう?
この状態だから、幼馴染3人が全員カイトが好きでも『全く気にならない』
それにこの世界は…実は俺に凄く優しい世界なのを俺は知っている。
此処からだ…
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