マリーマリー

 結婚か。

 相性占いなんかないよな。

「あるよ」

 え。

「【らぶらぶ=ラブノミクス】。2人の署名が必要」

 はあ。

 あー。

 はい。

 いいなと思える人が見つかったら。

 その生徒会長。1個下か……。


 +


 愛というのは「お前はそのままでいい」というメッセージだ。

 駄目だ。

 スポイルは許さない。

 谷に落とせ。

 嫌われてもいい。

 死ぬか底辺か超1流か。


 +


 分かりました。バレー部部長。

 愛してるって、「お前は、ここ止まり」って言われてるのね。

 まだまだ。

 磨くの。私を。


 +


 中学3年の時、彼氏がいた。

 部屋にあげた。

 せんべいとお茶を持って行ったら、私のパソコンでエロサイトを開いてた。

 殺す。

 姉ちゃんが、まだ産婦人科だったのが不幸中の幸いだ。

 私は願った。

(私の番号消せ!)

 声がした。

《よろしい。あげる。君の能力は【電電虫】》

 人妻ものだと?

 姉ちゃん狙いか!

 ソイツは、その日大人しく帰って行ったが、何故か不登校になった。


 +


 声がした。

《ねえねえねえねえ》

 ?

《2つ目の能力がもらえるとしたら何が欲しい?》

 ?

 あー。

 SNSに写真あげてる馬鹿の顔が見たい。

《ふーん》


【リバース】

 写真画像ファイルを撮影者の顔写真に変換する。


 +


 書道部が生徒会のシンパ?

 入学して3日目に部長になったアイツが?

 君子は諸を己に求め、小人は諸を人に求む。

 真理なんだなあ。

 つまり。

 実力は俺が上だけど今回は運が悪かった。

 こう思ってる。


 +


 んー。

 仇は討つか。

 先輩。安らかに。

「先輩、実家に帰ったのかな」

「知らん」

 だよね。

 さて。

 テニスサークル大の方に行ってみよう。


 +


 知らないか。

 お芝居上手いな。私。

 悲しそうな顔して帰った。

 んー。

 私を落とすチャンス。

 アパートに行く。気配がない。

 新聞は取ってない。

 電話。繋がらない。困る。

 たかがサークルだけど。

 親元離れてるから代理で失踪届。

 警察、大学に来るかな。

 心構えだけしてよう。


 +


 夏休み前に片が付いた。

 あーあ。

 両親な。

 警察から電話来ることすら覚悟しておらんのか。

 しょうもないな。犯罪者。

 ミステリーの前半しか見てないのか。

 解決編も見ろ。


 +


 きっちりなー。

 負けたら指よ。じゃんけんぽん!

 このゲームには必勝法がある。

 プレイヤーの家族を人質に取るんだ。


 +


 いやー。

 話題のアニメ録画して観たけど酷いな。

 うーん。

 DVDボックスなあ。

 バイトか……。


 +


 幸福なんて思い返すと「何だったアレ」で終わる。

 不幸は好きだ。

 自分はそれを乗り越えた有能だからだ。

 レベルアップ。

 ボクは強い。

 幸福な人間は、いつまでもキョロ充のままだ。

 何かを失っても必ず報復する。

 この強さ。

 ボクなんだ。


 +


 はあはあはあ。

 一般人に先輩語録を言わせると凄い噛ませになる。

 面白いな。

 あー。

 DVDか。

 いいよ。あの話がピークだ。どうせ。

 もう観ない。


 +


 幸せになりたいのかよ。――SLOTHめ!

 何故全ての人間を凡人Aと思わない。

 幻想を持つな。リーダーに。

 性善説? 性悪説?

 産まれた時はどうでもいいよ。

 その後、どういう人生を送って来たかが大切だ。

 産まれた時は善人でもボクに出会った時に悪人だったら殺す。

 重要なのは司法が正当防衛と認めてくれるかだ。

 情報? 別に要らない。

 お前なんかガセネタ野郎。

 この目で見た物しか信用しない。

 平和が欲しい?

 お前は決して殴られない人格者なのか?

 金持ちは哀れだ。

 何故なら漫画の立ち読みが出来ないからだ。

 作家になりたいか。

 書評家の評価が高い本を読め。

 つまり何百年も生き延びている古典文学だ。

 本屋にある新作は玉石混交だろうからコスパが悪い。

 詐欺に遭わない方法は簡単だ。

 取り分を要求しないこと。


 +


 うわー。

 昔はムカついてたけど。

 先輩いいこと言ってるなー。

 アレが父さん。

 お兄ちゃんなんて恥ずかしくて。

 お前は社会ではゴミムシだ。

 こう言ってくれたから、あの人は正直者だ。

 尊敬してる。


 +


 物語の書き方か。

 夏目漱石文学論。

 ラージF+スモールf。

 FACT+feeling。

 事物を書け。

 そして感情を呼び起こさせろ。

 素人はこういう感情を持ってくれって、ぺらぺら書く。

 スモールfを書くな。

 事実を羅列しろ。

 君のキャラクターの年代記を書くんだよ。

 文学論を最後まで読めたら才能あるよ。

 すっげえ酷い文章だから。

 漱石先生好きだけど、虞美人草だけは殺してえ……。

 あ。

 文芸の哲学的基礎から入った方がいいな。

 真・善・美。

 知・情・意。

 賢・愛・勇。これはオリジナル。


 夜と夜 ダイヤモンドダスト 真善美


 +


 んー。

 打ち切り漫画家か。

 連載勝ち取った自分には名声があると勘違いしてるっぽいな。

 違うよ。面接突破しただけなの。

 虞美人草か。

 インテリが、けばい女に引っかかりそうになったけど、地味な婚約者に説得されて、よりを戻したってそれだけの話。

 長い。

 猫もな。

 酷い。

 冒頭以外、読めたものではない。


 +


 ペンはサメより強しという映画がある。

 2が公開された。


 +


 ナンシー、私……。

 どうしよう。

 ゾンビになったナンシーを倒したけど。

 復讐に来るんじゃないかという気がして仕方ない。

 彼女の形見だったGペンは泥の中だ。

「契約をするか? 人間」

 誰。

「我は魔王、夜の母」

 夜の母?

「我のプロット通りに漫画を描け」

 え。

 駄目よ。編集さんに相談しないと。

「ネームだけでいい」

 持ち込み?

「ああ。10話くらいまでの話は出来ている」

 ああ。

 短期連載。

 人気が出たら続刊。

 そのくらいの売れっ子ではあるけど。

 取り分は?

「戦って欲しい」

 え。

「サメに追われている」

 そんな。

 もうおかしらたちはいないわ。

「ふ」

 何。

「ゾンビになって復活するのが、ナンシーだけと思うか」

 そんな!

 里の忍びたちが……蘇生する?


 +


 おかしら。

 サメと合体したのね。

 考えたわ。

 これなら忍法サメ操作の術は必要ない。

 苦無。

 超合金SASUKE。

 駄目。

 サメの皮膚を貫けない。

 やはり芋けんぴね。

 人の眉間すら軽々と貫く。

 よろしい。

 まずは究極のサツマイモを探しましょう。


 +


 ここは……

 異世界?

「ようこそ! オイモ国に」

 え。

 一面のサツマイモ畑。

 ここなら……

 でも。

 この悪寒は何?


 +


 スイートポテトゴーレム!

 何てこと。

 食糧危機が起きるわ!

 こうなったら。

 隣国を滅ぼすしかないわ。

 ロバタ王国か。

 

 +


 駄作だった。

 見どころはない。

 スイートポテトゴーレムか。

 強くなさそう。

 一発ネタやめろ。

 無理。

 1を超えられなかったか。

 あーあ。

 ネットの評価見るか。

「あのゴーレム、ナンシーだよ」

 え。

「ただミキに気付いて欲しかっただけなんだ」

 やばい。

 1、今の内に買っておこう。通販サイトで。


 +


 蛇って古語で「カ」って言ったらしい。

 鏡の語源って「カが見」じゃないかって。

 つまり鏡を古代人は蛇の眼と思ったらしいんだ。

 八咫鏡。

 これを蛇の目とするよね。

 司祭。

 でだ。

 草薙剣。

 これ、八岐大蛇の背中から出て来た。

 つまり蛇の胴体。

 戦士。

 司祭と戦士は蛇なのだ。

 司祭が頭で戦士が身体。

 八尺瓊勾玉。

 勾玉。

 これ「稲」ではないかな。

 米を喰う鼠は殺せ。

 蛇神信仰。

 民衆は稲で生産者だ。

 うーん。

 3万円なら賭けてもいい。

 司祭と戦士は生産者を守るためにいる。


 +


 瓊か。

 赤く美しい珠って意味だそうだ。

 八尺瓊。

 数字の8に意味はないような。

 太陽かなあ。

 蛇神と太陽。

 んー。


 +


 高慢と偏見?

 あー。

 妹ちゃん15歳が、どうしようもないキャラだった。

 お姉さんは、おっとりさんなんだけど。

 あー。

 姪っ子あんな風に育つのかな。ああ、菊のこと。


 +


 他の文学?

 えー。

 読めばいいの?

 追いたいシリーズ一杯あるんだけど。

 ?

 ごめん。もしもし。

 ?

 あんた誰。


 +


「宮森和算だ」

 ども。

「元バレー部。中西の1個上」

 はあ。

 ども。

 はあはあ。

 もう先輩後輩の関係はリセットしてるっぽいな。

 まとも。

「能力は【鶴と亀】」

 うぃ?

 あ。

 想像つかん……。

「女性能力者の能力を借りられる。見返りに個人情報を売られたことを感知出来る。1回だけ」

 げ!

 いや。

 何しろと。

「ハッタリだ」

 はあ。

「そんな超感知能力はない」

 まあね。

 あー。

 個人情報の範囲が広過ぎる。

 てかな。

 中学時代は全国バラバラの高校だし。

 女性能力者の能力を欲しがる? ない。

 それにその能力名。

 あの母校で生き残るなんて無理だよ。

 んー。

「本当は?」

「【カリュブディス】」

「は?」

「水で服を湿らせると失神する」

 ぐへ!

「水鉄砲など持ち歩けんが」

 ですね。

「中西は馬鹿にしなかった」

 はあ。

 これは――

 本当かな。

 実際がもっと弱い能力だったら、私が舐めて情報を売る。

「君の仲間の能力を買いたい」

 あー。

 最低1人か。

 はあはあ。

 口説くのか。

 んー。

「野島紫」

「ほう」

「猫が敵を尾行してくれる」

「位置感知は?」

「あります」

【らぶりーにゃーにゃー】って言った。


 +


 その後、私は、

【ストック×ストック】という能力があることを知った。


 効果 何か1個特定の物を無限にポケットに仕舞えるようにしてくれる。催涙スプレーなら催涙スプレー、スタンガンならスタンガンなど。術者に物理攻撃を仕掛けると解除される。


 +


「お国がそんなに親切なはずありません!」

 はあ。

 でも超能力欲しいんだよな……。

 …………。

 お姉ちゃん。あなた、正しかった。

 ただな。

 面白いんだ。

 人か。

 国の正体って。

 そうか。

 私も普通に残酷だ。

 キモオタニート死ねって思ってる。

 ふんふん。

 私もそう思われるのか。

 頭角を現さない限り。

 ふーん。

 これでいい。

 気に入った。この世界。

 勝負。

 好き。

 騙し合い。

 ゲーム。

 組織の金を賭けなきゃ、いくら遊んでもいい。

 神の神って何だろう。

 女神様。

 女神の女神って何だろう。

 専業主婦。

 専業主婦の専業主婦って何だろう。

 旦那。

 旦那の旦那って何だろう。

 会社の上司。

 会社の上司の会社の上司って何だろう。

 社長。

 社長の社長って何だろう。

 株主。

 株主の株主って何だろう。

 社長。

 無限ループになった。

 誰も好き勝手出来ないでいいんだよ。

 その方が好き。


 +


「無双ゲー? ボタン押すだけ」

 やっぱ中西先輩は好き。

 お父さんへの「好き」だけど。

「連射かあ」

 多少は訓練要りますね。


 +


 どうして戦争をするんですかって……。

 お前それサバンナでも同じこと言えるの?

 いつの時代のヒロインだよ。

 戦争する理由か。

 レベルアップしたいから。

 人と差をつけたいから。

 人に自慢出来るもの何も無いんだもん。

 戦闘力しか。


 +


 んー。

 私の人生どうなるかな。

 栄耀栄華か。

 別に。

 シャンパンなんてな。

 キャビアかよ。

 数の子でいいよ。

 フォアグラか。

 コンビーフでいいや。

 贄を尽くす?

 いえ、一庶民ですし。

 トルコ料理とフランス料理は東洋人の口に合わん。

 パクチーですら微妙なのに。


 +


 舶来物ね。

 別に。

 桃源郷なんてないし。

 アンブロシアもない。

 味覚の限界。

 見切っているのだよ。世界を。

 ネットに飽きた人間は。


 +


 誰がエスカルゴなんて喰うかよ。

 頭おかしい。


 +


 はあん。

 フランス大使館から抗議が来てる?

 いやー。

 あんたの口からそんなジョークが。


 +


【モブガール】?

 誰にも顔を覚えてもらえない?

 ?

 あ。

 ヤバいな。

 バドミントン部の会合とかで。

 1人だけよその部活の子が混じってる。

 死ねる。

 妖怪かよ。

 ぬらりひょん?


 +


 あー。

 フランスパンは好きだよ。

 クロワッサンも。

 フランス文学か。不倫ばっか。

 イギリスとの戦争か。

 島国なんか相手せんでも。


 +


 GOVERMENT OF THE WINE!

 BY THE WINE!

 FOR THE WINE!


 +


 なーんて。


 +


 うーん。懐かしいな。

 口の悪い人は信用する。

 私を口説こうと思っていない。


 +


 ゲームをしよう。

 好きな数字を言え。

 2桁まで。

「15」

 OK。

 私は6。

「?」

 ルール。

 先攻は奇数が最大になる。

 後攻は偶数が最大になる。

「?」

 どっちがいい?

「奇数って何?」

 パー。

「え」

 偶数はチョキ。

「え」

 ふむ。

 5×3なら2×3で勝てる。

「あ」

「あのさ」

 うん。

「20」

 うんうん。

「先攻だとパー4」

 うん。

「後攻だとチョキ10」

 イエス。

「私やる。同じく20」

 おっと。

「それいい」

「この場合どうなる」

 OK。

 どっちが勝つかは度外視だ。

 パー4 VS チョキ10。

 前者にグー6を足す。

 グーは0だから。

 いくら足しても20。

「ほう」

「6勝4敗……」

 そう。

「チョキ3パー1」

 うん。

「VS パー2」

 うんうん。

 ?

 まあ、いいか。

 シミュレートだし。

 その場合はパー同士が潰し合う。

「はー」

「なるほど」

 チョキ3 VS パー1になるんだな。

「うんうん」

「後攻有利か」

 だね。

 だけど奇数がパー、偶数がチョキというルールは明かされない。

 本番では。

「はあん」

「気付くかどうかか」

 そう。

 結構熱いゲームだ。

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