第7話 ゴブリン転生

 目を覚ますと(知らない洞窟の天井だ。喋れない。動きにくい。手足が小さい)と彼はおもった。

 「デカシタ、次代ノキングガウマレタゾ」とマッチョな緑色のおじさんが叫んだ。

「違うわ。プリンスよ。」と美人な女性が訂正した。

「ナニソレ?」


(私は、あ間違えた、俺は六十過ぎのロートル医師だったはずだ。日本人だし、こんな洞窟のなかで喋れず小さな手足になっているのはおかしい)

(これはあれだ、あれなのか。異世界転生なのか。でもなぜ俺が、日本人は死んだら異世界転生するのがデフォルトなのか)

(となるとこのゴブリンみたいなのが今世での父親なのかまさか母親ってことはあるまい。そしてこの耳の尖った綺麗な女性が母親なのか)(胸は残念だが、産後はすこし大きくなるんじゃないのか)

そうおもった瞬間、空気が10℃以上冷たくなり女性から凄い勢いでにらまれた。これは前世であおり運転にあったとき以来の威嚇であった。

「プリちゃんは、お乳はいらないのかしら。」

この母親は心がよめるのか。そして怖い。

「マア、ソウイッテヤルナ」

助け船が入った。(ほっ)

 母親はエリスと言う名前で、どうやらエルフらしいこと、父親はキンちゃんと呼ばれておりゴブリンキングらしいことがわかった。

 こうして俺プリちゃんの転生人生もとい転生G生が始まったのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る